都市部における一般対策の及びにくい特定集団に対する効果的な感染症対策に関する研究

文献情報

文献番号
200400633A
報告書区分
総括
研究課題名
都市部における一般対策の及びにくい特定集団に対する効果的な感染症対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石川 信克(財団法人結核予防会結核研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 下内 昭(大阪市健康福祉局)
  • 前田 秀雄(東京都福祉保健局)
  • 大森 正子(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 和田 雅子(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 高橋 光良(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 小林 典子(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 田川 斉之(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 豊田 恵美子(国立国際医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
38,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の都市部における効果的な結核対策であるDOTSのモデル開発を、特に対策が困難なホームレス等の特定集団を視野に入れて行い、行政的な政策提言を目指す。
研究方法
疫学的研究、介入実験、政策論的検討、文献レビュー、視察訪問
結果と考察
1) 新宿区での全排菌患者に対するRFLP分析により、路上生活者、一般区民、外国人の各群で、相互な感染が最近起こっている可能性が示唆された。
2)大阪市ではDOTSの拡大強化と相まって、治療中断・脱落率が6%と低く抑えられ、治療成功率は81%と高率を保った。前年に続き全国を上回る罹患率減少率(9%)、薬剤耐性率の減少を見た。
3)東京都では、①保健医療資源との連携の強化、②広域的DOTS体制の整備(患者の社会的、身体的状況に応じ、柔軟にDOTSを実施。区間での連携が必要)、③住宅確保等の社会サービスとの連携という有効な課題が示された。
4) 患者発見方式としては、先進諸国の文献レビューおよびモデル解析により健診の有効性が示された。
5) 治療方式としては、保健所との連携のもと、早期退院と外来DOT、NPOや薬局などの地域資源利用の有効性が示された。
6) 保健医療システム・行政分析では、従来の危機管理という概念からコミュニティの安全保障という概念への転換により、より有効な政策が展開できることを考察した。
結論
特定集団に対する効果的な方策として以下があげられる;①路上、施設入所時、喀痰採取等の健診、②直接服薬支援(DOT)の積極的適用(外来DOT、訪問DOTともに対費用効果が高く、間歇療法も有効。服薬支援の評価票・ガイドライン・教育プログラムが作成された)、③保健所、福祉、病院の強い連携(保健師等による患者への病院訪問や人間的絆の強化、生活保障や住居の提供は必須)、④定期的治療評価会(DOTSカンファランス:保健所および病院)の開催、⑤地域内社会資源の活用(NPO、薬局等)、⑥路上生活者や彼らに接する福祉・NPOスタッフへの教育、⑦外国人への文化的・言語的配慮(各国語によるパンフ・服薬手帳の作成)、⑧発生動向調査を用いた対策の評価(背景分析、対策評価図の作成)、⑨国の基本指針と地方公共団体の予防計画策定において盛り込まれるべき諸点を「提言」としてまとめ、全国の都道府県に配布するとともに結核研究所のホームページに公開した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200400633B
報告書区分
総合
研究課題名
都市部における一般対策の及びにくい特定集団に対する効果的な感染症対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石川 信克(財団法人結核予防会結核研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 下内 昭(大阪市健康福祉局)
  • 前田 秀雄(東京都福祉保健局)
  • 大森 正子(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 和田 雅子(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 豊田 恵美子(国立国際医療センター)
  • 田川 斉之(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 小林 典子(財団法人結核予防会結核研究所)
  • 高橋 光良(財団法人結核予防会結核研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の都市部における効果的な結核対策であるDOTSのモデル開発を、特に対策が困難なホームレス等の特定集団を視野に入れて行い、行政的な政策提言を目指す。
研究方法
東京都と大阪市を中心に、ホームレス等の特定集団に対する実態の把握、行政に加えNGOや当事者参加による介入的試行、政策論的検討、米英国との比較等による。
結果と考察
1)新宿区でのRFLP分析により、路上生活者、一般区民、外国人の各群で、相互の感染が最近起こっている可能性が示された。2)大阪市では、DOTSの拡大強化と相まって、治療中断・脱落率が低く抑えられ、治療成功率は高率を保った。全国を上回る罹患率減少率、薬剤耐性率の減少を見た。3)東京都では、諸医療保健機関の連携強化、広域的DOTS体制の整備(患者の社会的、身体的状況に応じ、柔軟にDOTSを実施、特別区間での連携)、社会福祉との連携(患者への病院訪問や人間的絆の強化、生活保障や住居の提供)の重要性が示された。4)患者発見としては、先進諸国の文献レビューおよびモデル解析により、(路上、施設入所時、喀痰採取等)健診の有効性が示された。5)治療方式としては、外来DOT、訪問DOTともに対費用効果が高く、間歇療法も有効、服薬支援の評価票・ガイドライン・教育プログラムが作成された。保健所の管理下で、早期退院と外来、NPOや薬局などの地域資源利用の有効性が示された。外国人へは、各国語によるパンフ・服薬手帳の作成等、文化的・言語的配慮の意義が示された。6)以上に加え、定期的治療評価会(保健所および病院におけるDOTSカンファランス)の開催、路上生活者自身への健康教育や福祉・NPOスタッフへの研修、発生動向調査を用いた対策の評価(背景分析、対策評価図の作成)の有効性が示された。7)保健医療システム分析では、コミュニティの安全保障という概念により、より有効な政策が展開できることを考察した。
結論
様々な健診、DOTの積極的適用、保健所・福祉・医療機関の強い連携、NPO・薬局等地域内社会資源の活用等、特定集団に対する効果的な様々な方策が示された。国の基本指針と地方公共団体の予防計画策定において盛り込まれるべき諸点を「提言」としてまとめ、全国の都道府県に配布するとともに結核研究所のホームページに公開した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-25
更新日
-