ハンセン病の早期診断・薬剤耐性・ワクチンに係る新技術の戦略的開発及び発症状況把握に関する研究

文献情報

文献番号
200400618A
報告書区分
総括
研究課題名
ハンセン病の早期診断・薬剤耐性・ワクチンに係る新技術の戦略的開発及び発症状況把握に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
向井 徹(国立感染症研究所ハンセン病研究センター(病原微生物部))
研究分担者(所属機関)
  • 牧野正彦(国立感染症研究所ハンセン病研究センター(病原微生物部))
  • 松岡正典(国立感染症研究所ハンセン病研究センター(生体防御部))
  • 甲斐雅規(国立感染症研究所ハンセン病研究センター(病原微生物部))
  • 儀同政一(国立感染症研究所ハンセン病研究センター(生体防御部))
  • 前田百美(国立感染症研究所ハンセン病研究センター(病原微生物部))
  • 寺尾恵治(国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター)
  • 大山秀樹(兵庫医科大学医学部)
  • 石井則久(国立感染症研究所ハンセン病研究センター(生体防御部))
  • 尾崎元昭(国立療養所長島愛生園皮膚科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
28,688,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ハンセン病への包括的対策のため、1.新規抗原による血清診断法開発 2.薬剤耐性菌対策として、菌型別法の確立および新規薬剤の開発 3.ワクチン開発 4.発症状況把握 5.療養所における介護職員の配置基準作成を目的とした。
研究方法
1.らい菌および各種抗酸菌糖脂質の質量分析により、らい菌糖脂質類似物産生菌の検索を行い、その免疫学的活性を検討した。2.菌遺伝子の繰返し配列検索を行い、その多型性と安定性の検討を行った。Buddemeyer法およびヌードマウス足蹠法により5剤の抗らい菌活性の検討を行った。3.ワクチン抗原として、菌体構成成分であるMMP-II蛋白、LpKリポ蛋白、FAP蛋白の免疫応答能の解析を行った。幼若カニクイザルへ菌を接種し、その免疫応答解析を行った。4.公表資料よりハンセン病新規患者の検索を行った。5.介護職員の介護行為を記述分析法により調査項目の科学的根拠を解析した。
結果と考察
1.らい菌よりTMMおよびTDM等の糖脂質を同定し、患者血清との反応性より診断抗原の可能性を示唆した。2.44種の繰返し配列を検討し9種が継代による保存性があり、型別法に有用であることを示した。rifalazilがRFP耐性菌に、MFLXがOFLX耐性菌に有効であることを示した。3.MMP-II およびLpKは、TLR-2を介し、防御反応に重要なサイトカイン産生を誘導した。FAPは、形態形成に重要な役割を持つことよりワクチン候補分子であることを示した。サルへ菌接種後1年間の観察より、菌蛋白によるリンパ球幼若化反応が持続する個体を認めた。4.本年度の新患は、日本人3名、在日外国人8名であった。5.新規介護度調査は、行動レベルで行い、4つのカテゴリーで分析する必要を認めた。介護行為の中には、「説明と同意」など質を表す要素が含まれていた。
結論
1.同定された新規糖脂質による診断法の確立とその評価を進める。2.9種の繰返配列によりらい菌の詳細な型別が可能になった。薬剤耐性らい菌に、有効な薬剤を同定した。3.検討した3種のらい菌由来蛋白は、ワクチン候補であることを示した。菌接種幼若サルは、1年間菌由来蛋白への免疫応答が持続を示した。4.ハンセン病の新患は、年間10名前後であり、将来外国人患者の増加を予想する必要がある。5.新介護度調査の中で、評価できない介護の質を検討する必要性を認めた。

公開日・更新日

公開日
2005-06-27
更新日
-