輸入動物に由来する新興感染症侵入防止対策に関する研究

文献情報

文献番号
200400615A
報告書区分
総括
研究課題名
輸入動物に由来する新興感染症侵入防止対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 泰弘(国立大学法人東京大学(大学院農学生命科学研究科))
研究分担者(所属機関)
  • 内田幸憲(厚生労働省神戸検疫所)
  • 太田周治(厚生労働省東京検疫所(川崎支所))
  • 本藤良(日本獣医畜産大学(獣医学部))
  • 宇根有美(麻布大学(獣医学部))
  • 森川茂(厚生労働省国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
21,675,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 感染症法の見直しで翼手目、プレーリードッグ、マストミスが輸入禁止になった。また輸入動物届出制導入、獣医師届出(サル類の赤痢、イヌのエキノコックス、鳥のウエストナイル熱)が実施された。今後は新制度が実効性を持つように運営される必要がある。そのため本研究班は輸入野生動物に関する科学的エビデンスの収集、動物由来輸入感染症に対するサーベイランスと危機管理対応の技術開発などを通じて、輸入動物に由来する染症侵入防止を研究することを目的としている。
研究方法
 輸入動物の病原体調査は野生捕獲齧歯類を対象に実施した。また輸入動物調査と健康証明書について評価を進めた。齧歯類由来感染症に関しては関西および関東の港湾労働者などの調査を進め、また開業獣医師、動物輸入業者に関しても調査を進めた。翼手目は全面輸入禁止となったが、アジアのコウモリについて近隣国と共同研究を進めた。霊長類についてはBウイルス抗体の鑑別法、ウイルス出血熱の診断法開発を進めた。
結果と考察
 愛玩用に輸入される野生捕獲齧歯類の病原体保有状況を調査した。11種類176匹を対象に野兎病、ペスト、ハンタウイルス、レプトスピラ、LCM、ライム病、ヘリコバクターの保有状況を調査した。レプトスピラ陽性の齧歯類がいることが分かった。翼手目に関してはフィリピンで材料を採取し、タイ・中国と共同研究を進めている。輸入届出制度、国内流通、トレーサビリティに関する研究として650件の輸入情報を解析した。衛生証明書については53の国又は地域が発給した証明事項について解析した。Bウイルスに関しては、単純ヘルペスとの識別可能な血清診断法を確立した。ウイルス出血熱に関してはマールブルグウイルスに関する研究を進め、抗原検出ELISA法を確立した。
結論
 感染症法の運営に必要な動物由来感染症の実態調査を進めると共に、危機管理対応のための国内流通システムの把握、トレーサビリティ手法について検討を進めた。また輸入届出制に必要な動物区分コードの作成、各国政府の衛生証明書の内容評価を行った。齧歯類由来感染症については港湾労働者、開業獣医師などのハイリスク集団で調査を進め、輸入齧歯類については引き続き病原体の解析を進めた。ウイルス性出血熱・Bウイルスに関しては診断技術開発を進めた。翼手目に関しては動物園由来コウモリの繁殖を試みるとともに、フィリピン、タイ、中国と共同研究を始めた。

公開日・更新日

公開日
2005-06-27
更新日
-