ヒト型抗SARS中和抗体の開発研究

文献情報

文献番号
200400602A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト型抗SARS中和抗体の開発研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
切替 照雄(国立国際医療センター研究所 感染・熱帯病研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 笹月 健彦(国立国際医療センター)
  • 田代 眞人(国立感染症研究所 ウイルス第3部)
  • 七條 茂樹(久留米大学医学部 免疫学教室)
  • 石田 功(キリンビール株式会社医薬カンパニー医薬フロンティア研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、SARSウイルス感染予防、感染後の発症予防、発症後の重症化予防と治療法確立を目的とし、ヒト型ウシを用いたヒト型中和抗体の開発を目指す。SARS患者血清と反応する多数のSARSウイルス抗原エピトープを同定し、これらエピトープを含むオリゴペプチドをヒト型マウス及びウシに免疫し、大量のヒト型中和抗体を作成し実用化を目指す。
研究方法
抗原ペプチドの候補選定:SARSウイルス構成タンパク由来の15merペプチドを合計197種類合成し、color-coded beadsに共有結合させ、これらペプチドに対する抗体は、Luminexを用いたflowmetryで行った。
抗原ペプチドのデザイン:SARS患者に特異的なペプチドの配列を元にペプチドを合成した。
組換え蛋白質の調整:His-Tagが除去可能な設計とするため、前者ではTEVプロテアーゼというエンドプロテアーゼの認識部位をHis-Tag直下に導入した。大腸菌での大量発現の確認後、ニッケルキレートカラム、His-Tag除去、TEVプロテアーゼにより精製した。
抗体中和活性試験の確立:Vero E6細胞系をヒト型抗体の中和試験に対して最適化を行なった。
結果と考察
抗原ペプチドの候補選定:SARS-CoV由来S、M及びN蛋白質の3つの蛋白質情報から197種類の重なり合うように設計されたペプチドを合成し、感染後のSARS患者44名から採取した血清中のIgGとの反応性を検証して、抗原ペプチド候補を絞りこんだ。
抗原ペプチドの設計:SARS患者に特異的な3つのペプチドの配列を元にペプチドを合成した。これらの配列にMAP修飾したもの、インフルエンザ血球凝集素ペプチドまたはユビキチン卵白アルブミンペプチドとこれらの配列を融合させたものの、総計4種類のデザインを行った。
組換え蛋白質の調整:SARS-CoV由来蛋白質のうち抗原候補として、S、M及びN蛋白質の組換え蛋白質、抗原を調整した。
抗体中和活性試験の確立:Vero E6細胞の細胞変性を指標としたヒト型抗体の中和試験を確立してプロトコールを作成した。
結論
SARSウイルスの感染防御、感染後のSARS発症予防、さらにSARS発症後の重症化予防と治療を目指した。本年度は、抗原ペプチドの候補選定、抗原ペプチドのデザイン、組換え蛋白質の調整、抗体中和活性試験の確立の3項目を実施し、大きな進展があった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-