文献情報
文献番号
200400601A
報告書区分
総括
研究課題名
SARS,バイオテロ、インフルエンザ対策としてのリアルタイム・アウトブレーク・サーベイランス・システム構築のための基礎的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大日 康史(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 村田 厚夫(杏林大学医学部救急医学高度救命救急センター)
- 谷口 清州(国立感染症研究所感染症情報センター)
- 重松 美加(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
29,284,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
2001年9月11日同時多発テロ、炭疽菌事件以降バイオテロによる脅威が現実化しており、公衆衛生当局による準備が進められている。その際に最も重要となるのは、より早期にバイオテロの発生を感知するシステムの構築である。それらはいずれも自覚症状に関するサーベイランスであり、症候群サーベイランスと呼ばれている。本研究では日本におけるこうした症候群サーベイランスの構築を目指し、まずはその可能性の検討、またノイズの中からシグナルを抽出する統計学モデルの開発を行う。
研究方法
症候群サーベイランスを具体的に検討し、その可能性を探る。また、日本での実施が可能であると考えられる分野に関してはその基礎的な研究を行う。
結果と考察
一般用医薬品については、総合感冒薬がインフルエンザの流行に際して2?4週間先行し、また予測力も高いことが確認された。外来受診時に関しては一医療機関に自覚症状のデータのとりまとめを依頼し、その統計学的な把握に努めた。暫定的なアラートシステムによって、今シーズンにおける遅いインフルエンザ流行や2005年初頭におけるノロウイルス感染症の流行を感知した。また、シミュレーションから感度、特異度も十分高いことが確認された。救急車搬送については、既に東京消防庁が発熱、嘔吐、呼吸困難等20項目の主訴を電子媒体化しており、その解析を共同で行うことに合意した。
結論
本年度は一般用医薬品と外来における症候群サーベイランスが実行可能性があると判断しその基礎的な研究を行った。来年度は、一般用医薬品に関しては、インフルエンザに対して一定の先行をすることが確認されたので、それがシーズンが変わっても安定的かどうかを確かめる作業を来年度実施する。外来に関しては、自動入力系の開発を行いその統計学的な性質を検討する。参加医療機関を広く募り、医療機関間の違いを明らかにする。特定の電子カルテの利用医療機関、学会、医師会、地方自治体を通じての協力呼びかけを行っている。救急車搬送に関しては、日本における本格的な症候群サーベイランスとして、早い段階での実用化を目指す。入院に関しては院内感染症対策としての症候群サーベイランスを実施する予定である。
公開日・更新日
公開日
2005-03-30
更新日
-