精神科急性期病棟・リハビリテーション病棟等の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200400563A
報告書区分
総括
研究課題名
精神科急性期病棟・リハビリテーション病棟等の在り方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
樋口 輝彦(国立精神・神経センター武蔵病院)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 誠一(国立精神・神経センター武蔵病院)
  • 計見 一雄(千葉県精神科医療センター)
  • 澤 温(さわ病院)
  • 宮岡 等(北里大学医学部精神科学教室)
  • 前田 久雄(久留米大学医学部精神神経科額教室)
  • 筧 淳夫(国立保健医療科学院施設科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、精神科急性期・リハビリテーション病棟における具体的な治療ケアプロセスを明らかにするとともに、標準的と思われる治療ケアプロセスおよび必要な施設基準を提案することである。
研究方法
平成15年度は精神科急性期病棟におけるクリニカルパスの収集を行った。平成16年度は、精神科急性期病棟における統合失調症の薬物治療に関する調査を行った。
2ヶ月の調査期間中に精神科急性期病棟・精神科救急入院料病棟取得病院、全国の大学病院、旧国立療養所を退院した患者について、①入院時②最初の処方変更時③中間日④退院時の処方を調査した。加えて、患者属性、主治医属性、施設特性、看護スタッフがその患者の処方に対して持った意見を調査した。また、大学病院(1施設)を退院した患者の退院時処方を1年間にわたって蓄積した。
調査から得られた処方データについて、対象施設全体における処方の分析、国公立病院における処方の分析、薬剤処方の類型化、非定型抗精神病薬の使用に関する分析、大学病院における処方の分析、大学病院病棟における退院時処方の分析、処方と施設環境の充実度の関連の分析を行った。
結果と考察
47施設から260名の統合失調症患者に対する処方のデータが得られた。大学病院の退院時処方の蓄積では45名に対する処方のデータが得られた。薬物治療は概ね国際的なガイドラインによって適正とされている処方量の範囲内で行われていたが、抗精神病薬の多剤併用処方や大量処方も少なからずみられた。大量処方は患者の症状の重篤さや困難さと関連していたが、患者要因だけでは処方量のばらつきを十分に説明できなかった。また、使用する薬剤が医師の年齢や施設特性によって異なる傾向がみられた。施設設備と処方データの分析により、処方量の推移と施設環境の充実度の関連が示唆された。
今回の調査により、全国の精神科急性期病棟における統合失調症に対する薬物治療の現状が把握された。治療の標準化や最適化においては、患者の要因だけでなく施設特性や医師の考え方などの要因と治療との関連を考慮する必要性が示された。
結論
本研究では全国の精神科急性期病棟における統合失調症患者に対する薬物治療の現状と関連要因が明らかになった。今後は、現在までの研究成果及びリハビリテーション病棟における研究成果を総合し、病棟の設備・構造・人員配置基準の検討に資するための提言を行う。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-