措置入院制度の適正な運用と社会復帰支援に関する研究

文献情報

文献番号
200400545A
報告書区分
総括
研究課題名
措置入院制度の適正な運用と社会復帰支援に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
浦田 重治郎(国立精神・神経センター 国府台病院)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島 正(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 吉住 昭(独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター)
  • 白石 弘巳(東洋大学 ライフデザイン学部 生活支援学科)
  • 山崎 敏雄(山崎病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
10,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大阪教育大学付属池田小学校で起こった児童殺傷事件を契機として、医療観察法が成立を促す一方で、措置入院制度の信頼性について疑問視される事態に至ったことは、精神保健福祉行政の根幹に関わる重大な問題である。このような状況を鑑み、都道府県・政令指定都市における措置入院制度運用の状況を実証的に明らかにし、措置入院制度の適正な運用に資する具体的な方策を提言することを目的としている。
研究方法
本研究班は平成12年度の措置入院に関わる一連の行政書類をデータベース化して解析し、かつガイドライン案等を検討した平成13年度「措置入院制度のあり方に関する研究」及び平成14年度―15年度「措置入院制度の適正な運用に関する研究」を引き継いでいる。平成16年度は解析を更に深め、ガイドライン案の検証を行い、精神科救急における措置入院制度の果たす役割と措置入院患者の人権の確保を検討した。
結果と考察
1.竹島分担研究者は精神保健指定医診察の要否判断のためのガイドラインと記録様式等の有用性を検証し、措置入院患者の適正な医療の確保と社会復帰支援のため、措置入院制度の運用状況のモニタリングについて検討した。2.吉住分担研究者は措置入院にあったっての精神保健指定医の判断の標準化を検討した。3.浦田分担研究者は措置入院患者のフォローと社会復帰に関する検討を行った。4.白石分担研究者は措置入院制度を含む精神科救急医療の適正な供給について検討した。5.山崎分担研究者は措置入院患者の人権確保の観点から措置入院等の適正な運用における精神医療審査会のあり方について検討した。以上の検討により、ガイドラインや行政書類様式の整備の必要性、措置入院要否判定における諸因子と診断基準の検討の必要性、社会復帰のための体制整備、精神科救急での措置入院を含む体制整備、人権確保上の精神医療審査会の機能強化等が明らかにされた。
結論
本年7月施行の医療観察法制度は措置入院制度にも大きな影響を及ぼす。従来の措置入院対象者の一部が医療観察法の対象となる。一方、措置入院制度の精神科救急に果たす役割が大きくなる可能性がある。また医療観察法では厳密な規定により運用されるが、措置入院制度では必ずしも厳密に運用されているとは言い難い部分もある。結局、措置入院制度は強制医療という面では厳密な運用が、日常の医療という面では柔軟な運用と、大変困難な課題を背負っており、本研究班ではこの問題の検討を重ねる必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-