知的障害児・者の機能退行の要因分析と予防体系開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400534A
報告書区分
総括
研究課題名
知的障害児・者の機能退行の要因分析と予防体系開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加我 牧子(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 阿部敏明(社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会 保健医療・福祉施設あしかがの森)
  • 稲垣真澄(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 田中恭子(医療法人ましき会益城病院)
  • 杉江秀夫(浜松市発達医療総合センター)
  • 西脇俊二(国立秩父学園医務課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
知的障害児・者の機能退行の有無と要因分析を行うことにより退行の予防、軽減あるいは改善をもたらすための方策に寄与する。
研究方法
国際生活機能分類ICFの3桁レベル項目から心身機能77,活動状況82各項目のリストを作成した.これを知的障害児・者施設利用者すなわち1)重症心身障害施設33名、2)通所施設50名、3)自閉症が83%を占める入所施設80名、4)入園施設 50名につき心身機能、活動制限、退行の有無等を調査した。よりよい支援で活動状況が改善するか、退行の有無や5年後の予想についても調査した。
結果と考察
1. 機能障害の該当項目数は平均1) 28.9(37.5%)、2) 10.3 (13.4%)、3) 26.0(33.8%), 4) 19.0 (24.6%)であった。
2. 活動制限該当項目数は平均1) 81.7(99.6%), 2) 32.9(40.2%), 3) 62.4(76.1%), 4) 47. 6 (58.0%)であった。
3. よりよい支援があればもっとできそうな項目数は平均1) 6.5(8%), 2) 3.8(4.7%), 3) 16.9(20.6%), 4) 4.6 (5.8%)であった。
4. 5年後、支援がより必要になりそうと考えられる項目数は平均1) 2.6, 2) 0.3(2名), 3) 1.9(13名)4) 0.7(7名)であった。
5.退行が確認できたのは1) 1名、3) 22名(28.8%)あり、要因は加齢9名,体重増加8名,行動異常5名,身体機能の悪化2名,環境要因1名であった。

機能障害や活動制限は施設の性質や個々の利用者により異なるが、機能退行を示す利用者が施設によっては30%近くにみられ、積極的な対応を考える必要が認められた。7割の利用者がよりよい支援があればさらに能力を伸ばせる可能性が示唆された。
ICFを利用する際,とくに「活動」の記録で標準的評価法を共有することが重要であり、継年的機能評価ができる条件が整った。
結論
ICFをもとに知的障害児・者に適用可能なチェックリストを作成し応用した。
機能障害、活動制限項目は多岐にわたるがよりよい支援があればもっと出来そうな項目もあり,現在の状態が必ずしも最大の能力ではない可能性も示唆された.機能退行には個別の障害に起因する場合と二次的要因による予防可能なものもある.従って障害固有の機能障害や活動制限の実態を明らかにすることにより,個々の機能障害を予防し活動制限を軽減していくことが期待される.

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-