脳卒中・虚血性心疾患臨床と地域疫学のデータベースのプラットフォーム化と分子疫学を基軸とした発症機序の解明に関する研究

文献情報

文献番号
200400515A
報告書区分
総括
研究課題名
脳卒中・虚血性心疾患臨床と地域疫学のデータベースのプラットフォーム化と分子疫学を基軸とした発症機序の解明に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
友池 仁暢(国立循環器病センター(病院))
研究分担者(所属機関)
  • 峰松 一夫(国立循環器病センター(病院))
  • 成冨 博章(国立循環器病センター(病院))
  • 宮本 享(国立循環器病センター(病院))
  • 野々木 宏(国立循環器病センター(病院))
  • 北風 政史(国立循環器病センター(病院))
  • 宮田 敏行(国立循環器病センター(研究所))
  • 岩井 直温(国立循環器病センター(研究所))
  • 森崎 隆幸(国立循環器病センター(研究所))
  • 花井 荘太郎(国立循環器病センター(病院))
  • 岡山 明(国立循環器病センター(病院))
  • 小久保 喜弘(国立循環器病センター(病院))
  • 小谷 泰(吹田市医師会)
  • 川西 克幸(吹田市医師会)
  • 伊達 ちぐさ(武庫川女子大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
48,960,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳血管障害と虚血性心疾患を主病とする循環器病の外来患者数、入院患者数は共にがんの倍以上であり、わが国の医療の最重要課題となっている。近年、少子化とともに超高齢化が加速しており、循環器疾患に抜本的施策の立案は焦眉の問題である。具体的な生活習慣の改善指導が第一歩であることは世界的にも共通の認識である。近代化とともに各個人の生活習慣は多様化しており、予防においては医療以上に個人の特性に留意した指導が肝要である。本研究では、脳卒中と虚血性心疾患の発症機序の解明を目的とする。
研究方法
健康診査時に生活習慣アンケートを実施後、OCRによりデータ化して、結果報告書を受診者に渡して個別指導の参考資料とした。一方、循環器病センターを受診する急性期の脳卒中、心筋梗塞患者にインフォームド・コンセントを実施し、同意の得られた患者に対して生活習慣アンケート調査と遺伝子解析用の採血を行った。遺伝子多型はTaqMan法を用いた。
結果と考察
生活習慣アンケートを解析し(33,297名)、多食、早食い、不規則な睡眠で、全ての性年齢層でメタボリック・シンドロームと有意な関連を認め、予防のための有効な生活習慣改善指導につながり得る資料となった。この生活習慣アンケートが吹田市の基本健康診査の受診票に平成17年度から取り入れられ、プラットフォームの役割が公的にも永続できることになった。また、循環器疾患の関連遺伝子検索として頚部エコー検査を用い、117 SNPsで関連が見られ候補遺伝子多型とした。ホスホジエステラーゼ4D、血管系に作用する一酸化窒素合成酵素、酸化ストレスに関与するパラオキソネースやNADPH酸化酵素p22phox、高血圧関連のα-アデューシンやG蛋白β3サブユニットなど計16遺伝子、48多型の解析を施行した。Heme-oxygenase 1 遺伝子のプロモーター領域のT(-413)AのAA型が心筋梗塞と負相関であった。ABCA1遺伝子のプロモーター領域の変異とHDLコレステロールと相関があるも、心筋梗塞と関連性はなかった。ApoA1 T84C変異とHDLコレステロールとの間に極めて強い関連性が認められ、心筋梗塞との関連も見られた。
結論
生活習慣アンケートの多食、早食い、不規則な睡眠は、メタボリック・シンドローム予防のための有効な生活習慣改善指導につながり得る。117 SNPsの脳卒中の候補遺伝子多型を同定した。 Heme-oxygenase 1 T(-413)A、ApoA1 T84Cと心筋梗塞との関係が見られた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200400515B
報告書区分
総合
研究課題名
脳卒中・虚血性心疾患臨床と地域疫学のデータベースのプラットフォーム化と分子疫学を基軸とした発症機序の解明に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
友池 仁暢(国立循環器病センター(病院))
研究分担者(所属機関)
  • 峰松 一夫(国立循環器病センター(病院))
  • 成冨 博章(国立循環器病センター(病院))
  • 宮本 享(国立循環器病センター(病院))
  • 野々木 宏(国立循環器病センター(病院))
  • 北風 政史(国立循環器病センター(病院))
  • 宮田 敏行(国立循環器病センター(研究所))
  • 岩井 直温(国立循環器病センター(研究所))
  • 森崎 隆幸(国立循環器病センター(研究所))
  • 花井 荘太郎(国立循環器病センター(病院))
  • 岡山 明(国立循環器病センター(病院))
  • 小久保 喜弘(国立循環器病センター(病院))
  • 小谷 泰(吹田市医師会)
  • 川西 克幸(吹田市医師会)
  • 伊達 ちぐさ(武庫川女子大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脳血管障害と虚血性心疾患を主病とする循環器病の外来患者数、入院患者数は共にがんの倍以上であり、わが国の医療の最重要課題となっている。近年、少子化とともに超高齢化が加速しており、循環器疾患に抜本的施策の立案は焦眉の問題である。具体的な生活習慣の改善指導が第一歩であることは世界的にも共通の認識である。近代化とともに各個人の生活習慣は多様化しており、予防においては医療以上に個人の特性に留意した指導が肝要である。本研究では、脳卒中と虚血性心疾患の発症機序の解明を目的とする。
研究方法
健康診査時に生活習慣問診を実施後、OCR(自動読み取り)によりデータ化して、結果報告書を受診者に渡して個別指導の参考資料とした。一方、循環器病センターを受診する急性期の脳卒中、心筋梗塞患者にインフォームド・コンセントを実施し、同意の得られた患者に対して生活習慣問診と遺伝子解析用の採血を行った。遺伝子多型はTaqMan法を用いた。
結果と考察
(1)都市住民の生活習慣と疾患に関する調査:メタボリック・シンドロームと有意な関連を認めた項目は、食べる量が多い、早食い、不規則な睡眠であった。この生活習慣問診が吹田市の基本健康診査の受診票に取り込まれ、プラットフォームの役割を公的にも果たせるようになった。(2)住民コホートの検診と遺伝子多型の調査:一般住民を対象とした凝固制御因子と線溶因子の活性低値は、プラスミノーゲン欠損症(I型)0.42%、アンチトロンビン欠乏症 0.15%、プロテインC欠乏症 0.13%、puroteinS欠乏症1.12%であった。また、合計117 SNPsで、頚動脈エコー所見と関連が見られ、循環器疾患の候補遺伝子多型とした。男性で血中の遊離型外因系凝固インヒビター量とPAI-1量が独立してIMTと正相関がみられ、動脈硬化の指標になると考えられた。(3)脳卒中、心筋梗塞患者の生活習慣と遺伝子多型の調査:Connexin37、lymphotoxinA遺伝子の遺伝型と心筋梗塞とが、ホスホジエステラーゼ4D、一酸化窒素合成酵素と脳卒中との慣例が認められた。Heme-oxygenase 1 遺伝子T(-413)AのAA型で心筋梗塞の発症に対して防御的であることが観察された。ApoA1 T84C変異とHDL値の間に極めて強い関連性が認められた。
結論
多食、早食い、不規則な睡眠は、メタボリック・シンドローム予防のための有効な生活習慣改善指導につながり得る。日本人の凝固制御因子と線溶因子の活性低値の割合、循環器疾患の候補遺伝子多型を同定し、今後の循環器疾患の予防に応用できる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-31
更新日
-