先進的高精度三次元放射線治療による予後改善に関する研究

文献情報

文献番号
200400491A
報告書区分
総括
研究課題名
先進的高精度三次元放射線治療による予後改善に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
平岡 真寛(京都大学(大学院医学研究科))
研究分担者(所属機関)
  • 白土 博樹(北海道大学(医学部))
  • 早川 和重(北里大学(医学部))
  • 永田 靖(京都大学(大学院医学研究科))
  • 晴山 雅人(札幌医科大学(医学部))
  • 山下 孝((財)癌研究会附属病院)
  • 山田 章吾(東北大学(大学院医学系研究科))
  • 広川 裕(順天堂大学(医学部))
  • 大西 洋(山梨大学(医学部))
  • 久保 敦司(慶応義塾大学(医学部))
  • 唐澤 克之(東京都立駒込病院)
  • 石倉  聡(国立がんセンター東病院)
  • 西尾 禎治(国立がんセンター東病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
28,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
体幹部定位放射線照射技術を用いた大線量小分割照射法によるT1N0M非小細胞肺癌に対する多施設共同研究にむけての環境整備とプロトコール作成
研究方法
本研究においては、以下の検討を行った。
1.Stage Iの非小細胞肺癌に対する定位照射の治療成績と有害事象に関する全国集計調査
2.多施設共同試験に必要な照射技術の精度を保証する作業方法の検討
3.模擬症例を用いた施設間の標的体積輪郭入力の差異、線量分布の差異の検討
4. T1N0M0非小細胞肺癌を対象とした体幹部定位放射線照射の臨床試験。
5.定位放射線照射に関連する固定精度および照射精度の確保を目的とした遠隔症例レビューシステムの構築
6.T2N0M0非小細胞肺癌を対象とした定位放射線照射治療プロトコールの作成
結果と考察
 国内の代表的な14施設の臨床病期I期の非小細胞肺癌に対する定位放射線治療成績は、Biological Effective Dose (BED) が100Gy以上の症例では、3年粗生存率が59%、3年原病生存率が77%、手術可能症例の3年粗生存率は82%であった。この結果は、手術可能症例に対する効果は手術に匹敵するものであり、また手術不能症例に対しても従来型の放射線治療成績を凌ぐ治療成績が期待された。
 また模擬症例を用いて、施設間の標的体積輪郭入力の差異について検討した結果、気管支・血管に隣接する部位において施設間で差が見られたものの、許容範囲内であった。
 一方でT1N0M0を対象としたJCOG0403「T1N0M0非小細胞肺癌に対する体幹部定位放射線治療第II相臨床試験」は平成16年7月20日よりIRBで承認された施設より順次症例登録を開始した。平成17年3月現在、予定16参加施設中15施設でIRBの承認が得られ、22例の症例登録がなされている。
 また品質管理・品質保証活動の一環として、米国Advanced Technology Consortium(ATC)と共同で遠隔症例レビューシステムを構築した。レビューが終了した12例全例とも放射線治療規定は遵守されており、本試験の信頼性は確保されている。
 本年度よりはT2N0M0(IB期)非小細胞肺癌に対する至適線量を決定するための線量増加試験を新たに実施すべくプロトコール作成を開始し、本年度の臨床登録開始を目標としている。
結論
 T1N0M0早期肺癌に対する定位放射線照射における多施設共同研究のプロトコールを作成し、2004年7月より症例登録を開始した。現在その各症例について精度確認中であり、また新規のT2N0M0早期肺癌に対するプロトコールも作成中である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-