文献情報
文献番号
200400483A
報告書区分
総括
研究課題名
子宮体がんに対する標準的化学療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
青木 大輔(慶應義塾大学医学部 産婦人科)
研究分担者(所属機関)
- 寒河江 悟(札幌医科大学 産婦人科)
- 植木 實(大阪医科大学 産婦人科)
- 星合 昊(近畿大学医学部 産科婦人科)
- 八重樫 伸生(東北大学大学院医学系研究科 婦人科学分野)
- 竹内 正弘(北里大学薬学部 臨床統計部門)
- 勝俣 範之(国立がんセンター中央病院通院治療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
19,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
子宮体がんの標準的化学療法の確立を目途としてタキサン系薬剤およびプラチナ製剤の併用療法による第Ⅱ相試験を実施し、有効性(奏効率)と安全性を検証すること。
研究方法
ドセタキセル+シスプラチン、ドセタキセル+カルボプラチンおよびパクリタキセル+カルボプラチンによる各併用療法の第Ⅱ相試験をそれぞれ実施する。
結果と考察
実施計画書を作成し、婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構の臨床試験審査委員会の承認を得た後、各施設IRBの承認手続きを経て平成15年12月から症例登録を開始した。対象は測定可能病変を有する進行・再発子宮体がん。primary endpointは奏効率とし、目標症例数は各群30例とした。平成17年3月31日現在、74例が登録されており、予定の症例集積状況を上回っている。平成15年9月にはモニタリング委員会を開催し、症例集積状況、不適格例の有無、治療前背景因子、逸脱例、有害事象発現状況、中止症例・中止理由などについて検討し、その後の中間解析では各群9例が集積された時点で各群とも3例以上の奏効が確認できたので予定通り試験を続行することとなった。現在、本邦では子宮体がんに対するタキサン製剤の効果に関するevidenceが乏しいにもかかわらず、その使用が散見される。一方、欧米ではこれまで行われてきた臨床試験の結果、AP療法(ドキソルビシン+シスプラチン)が標準治療とされている。このような背景のもとタキサン製剤はドキソルビシンやシスプラチンに劣らない奏効率を示していることから、子宮体がんに対してタキサンを含む有効で認容性が高い併用療法の確立が求められてきた。したがって、タキサンとプラチナ製剤による組合せに関して同じ背景因子を有する対象集団で比較できるという点で本研究は重要な意味を持ち、本臨床研究の成績が得られればAP療法との間で有効性を比較する第Ⅲ相試験に移行することが可能である。
結論
進行・再発子宮体がんに対するタキサン系薬剤とプラチナ製剤による併用療法の第Ⅱ相試験を開始した。本邦ではタキサン系薬剤とプラチナ製剤による子宮体がんに対する有効性の報告は少数例の奏効率に限られることから、また海外においても新規regimenとしてタキサンが注目されていることから、本試験の結果は子宮体がん化学療法のbreak throughとなることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2005-04-28
更新日
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