固形がんに対する骨髄非破壊的移植前治療を用いた同種末梢血幹細胞移植法の標準的治療の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400480A
報告書区分
総括
研究課題名
固形がんに対する骨髄非破壊的移植前治療を用いた同種末梢血幹細胞移植法の標準的治療の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
原田 実根(九州大学大学院医学研究院・臓器機能医学部門内科学講座・病態修復内科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中野 修治(九州大学大学院医学研究・臓器機能医学部門内科学講座・院病態修復内科学分野)
  • 中尾 眞二(金沢大学大学院医学系がん医科学専攻・細胞移植学)
  • 豊嶋 崇徳(九州大学病院遺伝子細胞療法部)
  • 牟田耕一郎(九州大学病院第三内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
15,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
白血病治療における同種造血幹細胞移植では移植片対白血病(GVL)効果が重要な役割を担っている。本研究では難治性固形腫瘍患者に対して、GVLと同様の移植片対腫瘍(GVT)効果を期待した同種造血幹細胞移植を、骨髄非破壊的な移植前治療を利用して実施し、その安全性と有効性を検討する。
研究方法
本研究は標準的治療法に抵抗性の進行・再発固形腫瘍患者で、65歳以下、十分な主要臓器機能を有し、測定あるいは評価可能病変を持つ患者を対象とした。ドナーにG-CSFを投与してPBSCを動員し、アフェレーシスによって末梢血幹細胞(PBSC)を採取し凍結保存した。移植前治療としての骨髄非破壊的治療は(1) cyclophosphamideとfludarabine、(2) fludarabineとBuslfan、(3) fludarabineとTBI、のいずれかを実施し、day0にPBSCを経静脈的に輸注した。GVHD予防には、標準的なmethotrexateとcyclosporineの併用投与、またはMMFとcyclosporine併用投与を行った。生着およびキメラ状態の解析には造血回復、性染色体、マイクロサテライト・マーカーを測定した。治療効果はRECIST判定を指標とした。
結果と考察
本療法により13症例の治療を行った。100日以内の移植関連死亡は認められず、評価可能9例中全例において完全キメラ状態を確認した。Grade IIIまでのコントロール可能な急性GVHDが4例、全身型慢性GVHDを3例に認めた。治療効果は、膵癌7例中CR1, PR1, SD2, PD3、胃癌1例(NC)、大腸癌1例(PR)、腎癌1例(PD)、浸潤性胸腺腫1例(PR)、肝組織球肉腫1例(SD)、ユーイング肉腫1例(PD)であった。100日以内の腫瘍死4例、100日以降4例、慢性GVHDによる死亡2例、その他1例であった。以上、本療法は安全に実施可能で、有効性も示唆されたことから今後の研究継続が望まれた。慢性GVHDの管理、GVT効果発現までの腫瘍増殖制御法、適応症例選択、移植前後での既存薬剤の併用、移植後の細胞治療の追加などの点が今後引き続き検討すべき項目である
結論
難治性固形腫瘍に対する骨髄非破壊的治療を用いた同種末梢血幹細胞移植は安全であり、膵癌など複数の癌種での有効性が示唆された。今後本療法の有効性確立のため研究の継続が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200400480B
報告書区分
総合
研究課題名
固形がんに対する骨髄非破壊的移植前治療を用いた同種末梢血幹細胞移植法の標準的治療の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
原田 実根(九州大学大学院医学研究院・臓器機能医学部門内科学講座・病態修復内科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 中野 修治(九州大学大学院医学研究院・臓器機能医学部門内科学講座・病態修復内科学分野)
  • 中尾 眞二(金沢大学大学院医学系がん医科学専攻・細胞移植学)
  • 豊嶋 崇徳(九州大学病院遺伝子細胞療法部)
  • 牟田 耕一郎(九州大学病院第三内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
白血病治療における同種造血幹細胞移植では移植片対白血病(GVL)効果が重要な役割を担っている。本研究では難治性固形腫瘍患者に対して、GVLと同様の移植片対腫(GVT)効果を期待した同種造血幹細胞移植を、骨髄非破壊的な移植前治療を利用して実施し、その安全性と有効性を検討する。
研究方法
本研究は標準的治療法に抵抗性の進行・再発固形腫瘍患者で、65歳以下、十分な主要臓器機能を有し、測定あるいは評価可能病変を持つ患者を対象とした。ドナーにG-CSFを投与してPBSCを動員し、アフェレーシスによって末梢血幹細胞(PBSC)を採取し凍結保存した。移植前治療としての骨髄非破壊的治療は(1) cyclophosphamideとfludarabine、(2) fludarabineとBuslfan、(3) fludarabineとTBI、のいずれかを実施し、day0にPBSCを経静脈的に輸注した。GVHD予防には、標準的なmethotrexateとcyclosporineの併用投与、またはMMFとcyclosporine併用投与を行った。生着およびキメラ状態の解析には造血回復、性染色体、マイクロサテライト・マーカーを測定した。治療効果はRECIST判定を指標とした。
結果と考察
本療法により13症例の治療を行った。100日以内の移植関連死亡は認められず、評価可能9例中全例において完全キメラ状態を確認した。Grade IIIまでのコントロール可能な急性GVHDが4例、全身型慢性GVHDを3例に認めた。治療効果は、膵癌7例中CR1, PR1, SD2, PD3、胃癌1例(NC)、大腸癌1例(PR)、腎癌1例(PD)、浸潤性胸腺腫1例(PR)、肝組織球肉腫1例(SD)、ユーイング肉腫1例(PD)であった。100日以内の腫瘍死4例、100日以降4例、慢性GVHDによる死亡2例、その他1例であった。以上、本療法は安全に実施可能で、有効性も示唆されたことから今後の研究継続が望まれた。慢性GVHDの管理、GVT効果発現までの腫瘍増殖制御法、適応症例選択、移植前後での既存薬剤の併用、移植後の細胞治療の追加などの点が今後引き続き検討すべき項目である。
結論
難治性固形腫瘍に対する骨髄非破壊的治療を用いた同種末梢血幹細胞移植は安全であり、膵癌など複数の癌種での有効性が示唆された。今後本療法の有効性確立のため研究の継続が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-30
更新日
-