がん特異的細胞傷害性T細胞活性化に基づく免疫治療の構築

文献情報

文献番号
200400461A
報告書区分
総括
研究課題名
がん特異的細胞傷害性T細胞活性化に基づく免疫治療の構築
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
葛島 清隆(愛知県がんセンター研究所・腫瘍免疫学部)
研究分担者(所属機関)
  • 赤塚美樹(愛知県がんセンター研究所・腫瘍免疫学部)
  • 森島泰雄(愛知県がんセンター病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
がん細胞特異的細胞傷害性T細胞(CTL)はがん細胞に選択的に提示される抗原を認識し、がん細胞を傷害する。CTLを効率よく活性化するには、CTLが認識するペプチド断片(エピトープペプチド)のアミノ酸配列を正確に同定することが必要条件となる。本年度は1)Epstein-Barr virus (EBV)関連抗原、2)造血幹細胞移植において惹起される血液細胞特異的なマイナー組織適合抗原(mHAg)に由来するエピトープを複数個同定することを目的とした。
研究方法
1)in vitroで合成したmRNAを電気穿孔法にて樹状細胞等の抗原提示細胞に導入した。末梢血CD8陽性細胞をmRNA導入抗原提示細胞にて数回刺激した後、限界希釈法にてEBV-LMP1およびEBNA1特異的CTLクローンを樹立した。2)HLA一致同胞間移植を受けた患者より、mHAg特異的CTLクローンを樹立した。mHAgの同定は、患者細胞から作成したcDNAライブラリーを用いた発現クローニング法にて行った。
結果と考察
1)HLA-A*0206拘束性EBV-LMP1特異的CTLクローン、HLA-Cw*0303拘束性EBNA1特異的CTLクローンを樹立した。LMP1特異的CTLクローンはEBV陽性NK細胞リンパ腫株を傷害した。それぞれのCTLクローンが認識する新規エピトープのアミノ酸配列を決定した。mRNA導入抗原提示細胞は存在頻度の低いT細胞の刺激誘導に効果的な方法と考えられた。2)異なる移植後患者から樹立したHLA-A*3101およびA*3303拘束性のCTLクローンが認識するmHAgは連鎖解析法にて第15番染色体にマイナー抗原が存在すると予測された。cDNAライブラリーを用いた発現クローニング法により、両CTLはCathepsin H遺伝子上のExon1に存在する遺伝子多型部位を認識することを明らかにした。
結論
1)HLA-A*0206によって提示されるEBV-LMP1の新規エピトープ、また、HLA-Cw*0303によって提示されるEBNA1の新規エピトープを同定した。LMP1特異的CTLクローンはEBV陽性NK細胞リンパ腫株を傷害した。2)Cathepsin H遺伝子上の遺伝子多型部位に存在する、HLA-A*3101およびA*3303拘束性によって提示される新規mHAgを同定した。

公開日・更新日

公開日
2005-03-31
更新日
-