胃がんスクリーニングのハイリスクストラテジーに関する研究

文献情報

文献番号
200400456A
報告書区分
総括
研究課題名
胃がんスクリーニングのハイリスクストラテジーに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
三木 一正(東邦大学医学部医学科内科学講座(大森)消化器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 一瀬 雅夫(和歌山県立医科大学第二内科)
  • 渡邊 能行(京都府立医科大学大学院地域保健医療疫学)
  • 吉原 正治(広島大学保健管理センター)
  • 濱島 ちさと(国立がんセンターがん予防・検診研究センター情報研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ペプシノゲン法に加えて、ヘリコバクタピロリ菌に対するIgG抗体、CagA抗体等を用いた胃がんのハイリスク集団の最適なスクリーニング方法を明らかにし、最終的には胃X線検査や胃内視鏡検査と組み合わせた経済的でかつ胃がん死亡減少をもたらすマネージメント方法を提案することを目的とする。
研究方法
胃がんハイリスク集団のスクリーニング方法に関する研究とペプシノゲン法単独やペプシノゲン法と胃X線検査併用胃がん検診の胃がん死亡率減少効果の評価を行う。
結果と考察
1)胃がん患者血清と性・年齢・人種をマッチさせた同一地域登録住民対照血清で①血清ペプシノゲン(PG)Ⅰ、Ⅱ値②血清抗H.ピロリIgG抗体価(HpAb)③血清抗H.ピロリCagA蛋白抗体価(CagA)をインフォームドコンセント(IC)を得て測定し、3者組合せによる胃がん罹患オッズ比の検討を行い、血清HpAbまたはCagA陽性で、かつPGⅠ低値の組合せは、HpAbとCagAの両者が陰性で、かつPGⅠが正常の場合よりも41倍未分化型胃がんのリスクを高めていた。2)無症状健常人男性の血清HpAbとPGⅠ、Ⅱ値を測定しHp感染の有無、慢性萎縮性胃炎の合併を検討し、Hp関連胃炎の進展度をICを得た各個人について評価した集団を10年間追跡観察した結果、Hp関連胃炎の進展に伴い、胃がん(分化型)の年率発生リスクが段階的に上昇した(Hp陰性の健常A群;0%、Hp陽性かつ萎縮性胃炎陰性B群;0.1%、萎縮性胃炎C群;0.2%、化生性胃炎D群;1.25%)。3)PG法胃がん検診実施自治体でPG法受診による胃がん死亡率減少効果を総務省許可の死亡情報等にて評価した。過去2年未満のPG法受診歴は症例41人中2人(4.9%)に対し、対照は123人中37人(30.1%)で過去2年未満受診のオッズ比(95%信頼区間)は0.119(0.027-0.520)で有意に胃がん死亡の減少効果を認めた。
結論
1)血清PG値とHpAbとCagAの3者の測定は、胃がんハイリスクスクリーニングだけでなく、病理組織型診断にも有用である。2)Hp感染のないA群を低いリスク群として胃がん検診対象から外し、萎縮性胃炎合併群(B,C,及びD群)を選択的にスクリーニングする胃がん検診方式は合理的である。3)PG法受診による胃がん死亡率の減少効果を症例対照研究で認めたことはPG法有効性評価の1つの成果である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-07
更新日
-