DNAチップによる急性白血病の新規分類法提案

文献情報

文献番号
200400455A
報告書区分
総括
研究課題名
DNAチップによる急性白血病の新規分類法提案
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
間野 博行(自治医科大学医学部ゲノム機能研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 小澤 敬也(自治医科大学医学部内科血液学)
  • 加納 康彦(栃木県立がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
22,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在なお正確な診断が困難であり、かつ有効な治療法の存在しない白血病類縁疾患が数多くある。各患者の有効な治療法を選択する上でも正確な鑑別診断は必須であり、そのためには新たな分子診断マーカーの同定が最も重要であると考えられる。DNAチップは数千-数万の遺伝子発現変化を簡便に解析可能にする最新の研究システムであり、上述の目的に適したスクリーニング法であると期待される。
研究方法
(1)造血幹細胞特異的マーカーであるAC133に対するアフィニティカラムを用いて、白血病を含む各種特発性血液疾患患者骨髄より造血幹細胞分画を純化保存し、これをBlast Bankと名付けた。平成17年3月現在で600例を越えるサンプルの保存に成功した。(2)ヒト白血病株化細胞として、MOILT-3 (T-cell ALL)、HL-60 (APL)、U937 (AMoL)を用いた。ヒト白血病株化細胞をR115777と他剤の存在下で4日間培養し、IC80における併用効果をisobologramで分析した。
結果と考察
(1)我々は平成11年8月よりBlast Bankを立ち上げ既に600例を越えるサンプルのストックに成功した。99例のAML類縁疾患について、Affymetrix社GeneChip HGU133A & Bを用いた解析を行い、上記99例における全ヒト遺伝子の発現プロファイルデータベースを構築した。各症例の臨床情報フォローアップデータより、初回寛解導入療法の成績にリンクする遺伝子などを同定することに成功した。(2)R115777のMOLT-3, U937, HL-60に対するIC80は各々0.34、2.7、6.5 mMであった。これらの細胞による併用実験では、R115777はcytarabine、doxorubicin、idarubicin及びSN-38と相加作用、methotrexateと拮抗作用を示した。
結論
本研究事業において各種白血病類縁疾患の大規模な純化細胞DNAチップ解析を行い、膨大な遺伝子発現データを得た。これらを元に「発現量から統計的有意に診断」を可能にする遺伝子群の抽出に成功し、カスタムDNAチップによる診断法の可能性を示した。また疾患あるいは合併症の発症に関与すると思われる遺伝子も複数単離することに成功し、これらを標的とした分子療法の開発に向けて基盤技術の開発に成功した。

公開日・更新日

公開日
2005-03-28
更新日
-