新しい検診モデルの構築と検診能率の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200400447A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい検診モデルの構築と検診能率の向上に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
土屋 了介(国立がんセンター中央病院副院長)
研究分担者(所属機関)
  • 江口 研二(東海大学医学部呼吸器内科学教授)
  • 児玉 哲郎(栃木県立がんセンター病院長)
  • 池田 徳彦(東京医科大学外科第一講座講師)
  • 遠藤 登紀子(国立病院機構名古屋医療センター放射線科部長)
  • 柿沼 龍太郎(国立がんセンター がん予防検診研究センター 検診技術開発部室長)
  • 金子 昌弘(国立がんセンター中央病院内視鏡部医長)
  • 村松 幸男(国立がんセンター がん予防検診研究センター検診部部長)
  • 光冨 徹哉(愛知県がんセンター胸部外科部長)
  • 濱島 ちさと(国立がんセンター がん予防検診研究センターがん情報研究部室長)
  • 林 同文(東京大学大学院医学系研究科健康医科学創造講座助教授)
  • 岡山 明(国立循環器病センター循環器病予防検診部部長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
100,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現行の検診体制が機能しており、今後さらに患者の増加が予想される肺がん、乳がんについて新たな検診モデルを構築し検診能率の向上を図ることを目的とする。
研究方法
肺がん低線量CT検診の指針に基づいて実施されるCT検診症例を集積し、多数例の解析から、診断基準、要精査基準、経過観察基準などのエビデンスを検証する。その検討を踏まえ、マルチスライスCTやコンピュータ診断支援装置(CAD)を利用した肺がんCT検診モデルの確立を目指す。乳がん検診では、マンモグラフィを基本として、超音波などとの組み合わせによる検診モデルの確立を目指す。併せて一般健康診断についての基礎調査と健診項目のエビデンス強度の検証を行い、がんを始めとする生活習慣病のスクリーニング手段としての一般健康診断の有効性について検討を行う。
結果と考察
肺がんCT検診における検診効率の向上のため、診療放射線技師による胸部CTスクリーナー制度創設に向けた検討を開始した。肺癌連続切除例においてEGFR遺伝子変異を検索したところ全体の40%に認められた。非喫煙者腺癌患者を効率よく発見するためにはEGFR遺伝子をサロゲートマーカーとして一次予防策および早期診断の方策を考えていく必要性を示した。肺がんCT検診にて発見される肺結節の精密検査システムとしての検診肺外来および管理検診を創設した。また、肺結節の解析のための結節データベースおよびCAD開発のためのCT画像保存システムを構築した。マンモグラフィによる乳がん検診の普及に伴い、後向き診断が可能である画像診断の特徴が惹起する訴訟問題に対応する「review system」を検討し、本検診のスタートに先立ち、review systemの構築は必須であることを明らかにした。若年者の高濃度群や不均一高濃度群の乳癌検診を視野に入れた検診体制を構築するにはマンモグラフィと超音波の併用が不可欠であることを明らかにした。高脂血症にて生活改善の方法、具体的な指導方法による効果について国内外ともに保健事業として推進できるエビデンスが明らかになった。
結論
肺がん検診においては、低線量のヘリカルCTにより発見される多数の肺結節の局在診断の支援として、胸部CTスクリーナーやCADの併用を検討した。肺結節の解析のために肺結節データベースおよびCAD開発のためのCT画像保存システムを構築した。乳がん検診においては、若年者を対象とする上でマンモグラフィと超音波の併用が不可欠であった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-