文献情報
文献番号
200401345A
報告書区分
総括
研究課題名
小児期発症のミトコンドリア脳筋症に対するL-アルギニンおよびジクロロ酢酸療法の効果判定と分子病態を踏まえた新しい治療法開発に関する臨床研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
古賀 靖敏(久留米大学医学部小児科学教室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 小児疾患臨床研究【若手医師・協力者活用等に要する研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
28,404,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
小児期発症のミトコンドリア脳筋症は、慢性進行性の難治性疾患でありながら、現在効果的治療方法の確立していない小児難病である。このミトコンドリア脳筋症の2病型(MELAS、Leigh脳症)に対するL-アルギニンおよびジクロロ酢酸療法の効果判断と分子病態を踏まえた新しい治療法開発研究をサポートする事が本研究の目的である。
研究方法
①ミトコンドリア病の脳卒中を来す病型(MELAS)でL-アルギニン療法の治験を行うためのプロトコールの作成およびインフォームドコンセント、レジストリー作成、②ミトコンドリア脳筋症の迅速診断センターを開設し、臨床的、生化学的、筋病理学的、遺伝学的解析を整備した、③国内でのL-アルギニン酸化ストレスおよび血管内皮機能の測定、④症例の変異の臓器内分布および生化学的解析、⑤モデル動物の解析。これらの研究は、主研究を遂行するためのインフラ整備を完成するのに必要である。
結果と考察
MELASの診断基準、重症度分類を策定出来たことは、今後ミトコンドリア脳筋症の治療方法の開発研究を行う上で、整備すべき最低限の環境である。同時にミトコンドリア脳筋症の効果的診断法を確立できたことは、本症における治験のための薬物のインフラ整備が完成したと考えられ、満足すべき点と考えられる。自由研究としてのL-アルギニンの臨床報告は、国際誌に2報、その他の研究として国際誌に1報が掲載され、研究成果としては、満足すべくレベルと考えられる。ミトコンドリア脳筋症の診断治療で、国が認めたMELASの診断基準、重症度分類は、世界でも初めてである。また、MELASの脳卒中急性期治療および発作予防としてのL-アルギニンの特効薬的効果は、世界的に注目される治療方法であり、何れもNeurologyのhighlighting paperに採択された。
結論
今後、この治療法の適応に向けた治験研究の実施が望まれる。今回の治験チームでの研究で、今後の臨床治験に向けての必須のインフラ整備が完結したと考えられる。MELASに対するL-アルギニン療法は、日本で発見した特効薬的治療法であり、今後治験に向けた具体的な医療政策が望まれる。
公開日・更新日
公開日
2005-06-24
更新日
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