子どもの発達段階に応じた効果的な栄養・食教育プログラムの開発・評価に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200400372A
報告書区分
総括
研究課題名
子どもの発達段階に応じた効果的な栄養・食教育プログラムの開発・評価に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 西田 美佐(国立国際医療センター研究所代謝疾患研究部)
  • 津波古 澄子(天使女子大学看護学部)
  • 吉池 信男(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
  • 菅野 幸子(宮崎県立看護大学)
  • 澤村 恭子(南九州大学健康栄養学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
幼児期から学齢期の子どもが望ましい食事観や食習慣を形成することをねらった栄養・食教育プログラムについて,計画・実施・評価の具体的方法を示したマニュアルを作成することを目標として研究を行った.
研究方法
1.Child-to-Childプログラム
某小学校において、5年生(総合的な学習の時間)と2年生(生活科)を対象として食教育を進め、子どもの半年間の変化を評価した。また保護者に介入前後にアンケート調査を行い方法を評価した。
2. おやつを題材とした食教育法のマニュアル
小学校5年生を対象に、おやつの授業、調理実習および夏休みにはセルフチェックを用いた食教育を行い、教育前後におやつ摂取内容や食べ方に関するアンケート調査を実施した。介入授業は、おやつの摂取内容の変容を主な目標とし、45分の授業を3回行い、各々のテーマを「砂糖」「塩・油」「添加物」とした。「砂糖」の授業では、おやつやジュースに含まれる砂糖の量についてのクイズを出し、摂り過ぎによる身体への影響を説明した。
結果と考察
1.5年生の児童に、2年生に教える学習を組み込んだことを通して、目標としたスキルが学実に身についた。また、2年生には、保護者や教師が指導するよりも身近に感じ、より知識の吸収が高まった。
2.手作りのおやつには添加物が含まれていないが、市販のものと比べてもおいしいということを体験させた。調理実習は、「焼いて作るおやつ」と「固めるおやつ」を2回ずつ計4回行った。1回目は基本の材料で調理方法を学び、2回目は「簡単・おいしい・栄養がある」をテーマとして児童がアレンジした献立を調理した。介入群では、おやつの摂取内容に変化がみられた。また、家庭で調理を行った児童が多くみられ、児童に「食」に対する興味を持たせることができた。家でおやつを手作りする人数が増えた。
結論
 子供への食教育マニュアルとして、Child to Child をモデルとして、上級生から下級生に栄養を教えてもらう方法は、上級生が責任を感じ、自分の努力で栄養学を学び、下級生はより身近な上級生から教えてもらうことで親近感を感じた。非常に効果的なもでるで、今後の食教育においても多くのところで推奨できるであろう。
 
 おやつを作る実習を組み合わせることによって、食事の材料や意義がよく理解できることがわかった。講義だけでなく、実習・実体験を行わせると、効果的な食教育ができることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2005-06-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200400372B
報告書区分
総合
研究課題名
子どもの発達段階に応じた効果的な栄養・食教育プログラムの開発・評価に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山本 茂(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 西田 美佐(国立国際医療センター研究所代謝疾患研究部)
  • 津波古 澄子(天使女子大学看護学部)
  • 吉池 信男(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
  • 菅野 幸子(宮崎県立看護大学)
  • 澤村 恭子(南九州大学健康栄養学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
幼児期から学齢期の子どもが望ましい食事観や食習慣を形成することをねらった栄養・食教育プログラムについて、計画・実施・評価の具体的方法を示したマニュアルを作成する。
研究方法
①先進的な研究例として米国のDr. Contentoが著した子どもの栄養・食教育理論に関する論文集の日本語版資料を作成し、関連研究者及び実務者に供した。
②発達段階に応じた栄養に関する問題点、改善方法等に関する国内外の文献の系統的レビューを行い、特に国内の具体的な介入事例は、エビデンスレベルを明確に示しながら解説する実務者向けマニュアルを作成した。
③国内のやせの現状をレビューし、やせと関連があると思われるボディイメージを国際比較した。
④子ども用の食事調査方法を開発した。
⑤日本でのChild-to-Childアプローチの展開可能性及び有用性の検討、野菜摂取促進プログラムの開発、おやつを題材とした食教育法のマニュアル作成を行い、介入研究を実施した。
結果と考察
①発達段階ごとの栄養・食生活の問題点は、幼児期は食生活の健全性の確立と食行動の発達を促すことが大切。小児期はコンビニ食、清涼飲料水などの食事内容の問題及び運動、睡眠を含めた生活状況から肥満が問題。青年期・思春期はダイエット、ストレス対処、精神的疲労などの内的要因が食べることにも大きく影響。
②思春期の日本人及びベトナム人のボディイメージは、日本人ではベトナム人より肥満を嫌い、やせ願望が強い。健康の概念もベトナム人はやせが肥満よりも健康上問題であると考えるが、日本人はその逆であった。
③野菜摂取促進研究では、給食の残食が減り、近隣スーパーマーケットでの野菜の販売量が増加した。
④Child-to-childモデルの学習効果は、上級生にも下級生にも栄養・食の知識、スキル、実践力を身につける上で効果的であり、さらに体験学習を組み込むことで理解が深まる。
結論
子どもの食行動を規定する心理は、年齢、社会背景、環境などにより異なり、改善のための介入方法は、状況をよく理解して決定すべきである。ボディイメージの比較は、食行動に及ぼす心理の形成や変容を見いだすのに役立つだろう。子どもへの食教育手法として、Child to Childモデルは栄養・食の知識、スキル、実践力を身につける上で効果的であり、さらに体験学習を組み込むことでより理解が深まるであろう。

公開日・更新日

公開日
2005-06-23
更新日
-