文献情報
文献番号
200400365A
報告書区分
総括
研究課題名
生涯を通じた健康の管理・保持増進のための健康教育・相談支援等の充実に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
稲葉 裕(順天堂大学医学部衛生学教室)
研究分担者(所属機関)
- 平井愛山(千葉県立東金病院)
- 三上春夫(千葉県がんセンター研究局疫学研究部)
- 松村康弘(国立健康・栄養研究所)
- 永田知里(岐阜大学医学部医学科総合病態・予防医学講座疫学・予防医学分野)
- 水嶋春朔(東京大学医学教育国際協力センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
種々の疾患で性差のあることは古くから知られているが、その理由の解明や対策が注目され始めたのはここ10年ぐらいのことである。日本ではまだこの面での研究は不十分であり、生涯を通じた女性の健康づくりの観点から、性差を踏まえたきめ細かな保健医療対策をたてるための基礎的な資料づくりをすることがこの研究の目的である。
研究方法
千葉県の8病院の女性専用外来と15保健所の女性健康相談事業で同じ質問紙を使用した調査を行った。千葉県で地域による女性の健康状況を検討するために2つのコホート研究を開始した。医療供給体制の弱いK町では1989-90年に質問紙調査を実施しており、医療供給体制良好なA地域で2004年に調査を開始した。既存のコホートは岐阜県高山コホートと文部科学省助成による大規模コホート(JACC Study)の結果を分析した。国民栄養調査データなどの既存の行政資料を利用して死因別年齢調整死亡率、疾患別年齢調整受療率を性別、県別に算出し相関分析を行った。
結果と考察
女性外来と女性健康相談来院者2700名の問診票解析の結果、来所者の主な受診理由は身体の不調、更年期関連、心の問題、セカンドオピニオン等であった。医療施設では身体の不調や更年期関連の相談、保健所ではセカンドオピニオン関連の相談が多かった。K町コホートは初潮年齢の低下と閉経年齢の上昇が女性の寿命を延長させ、初産は20歳代、妊娠回数は1~2回が望ましいことを示した。A地域のコホートはベースライン調査として生活習慣や予防保健サービス利用状況等の調査を実施、解析をした。高山コホート研究ではNa摂取と脳内出血、脳梗塞死亡の関連を性別に示した。JACC Studyの分析結果では死亡リスクが本質的に男に高い癌と喫煙の影響が大きい癌を部位別に明らかにした。国民栄養調査の解析では独居世帯以外の世帯は概ね母集団を代表していた。死因別年齢調整死亡率の分析では男女共通のものが多く、疾患別受療率では男女の分布に差がみられるものが多かった。生活習慣や食品摂取量との地域相関ではさらに詳しい解析が必要である。
結論
研究期間の最終年度にある程度の成果は挙げられたと考えている。この結果が今後展開される新たな女性医療サービスの基礎が確実なものになり、女性の健康支援事業の展開に貢献することを期待する。
公開日・更新日
公開日
2005-06-16
更新日
-