高齢者の施設・在宅における終末像の実証的検証および終末期ケアにおける高齢患者の自己決定のための情報開示のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200400324A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の施設・在宅における終末像の実証的検証および終末期ケアにおける高齢患者の自己決定のための情報開示のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
葛谷 雅文(名古屋大学大学院 医学系研究科 健康社会医学専攻(発育・加齢医学講座老年科学))
研究分担者(所属機関)
  • 伴 信太郎(名古屋大学医学部附属病院 総合診療部 )
  • 服部 明徳(東京都老人医療センター )
  • 水川 真二郎(杏林大学高齢医学教室 )
  • 内藤 通孝(椙山女学園大学大学院 生活科学研究科 栄養保健科学教室 )
  • 植村 和正(名古屋大学大学院 医学系研究科 分子総合医学専攻(病態内科学講座) )
  • 益田 雄一郎(名古屋大学大学院医学系研究科 健康社会医学専攻(発育・加齢医学講座老年科学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
9,940,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
施設・在宅における高齢者の終末期に至る過程を明らかにし、ADL・QOLへの介入法および関係者への教育方法の確立を模索することである。
研究方法
1)全国3地域13協力機関で、在宅で死亡した者を対象に終末期医療に関する前向き調査を行った。2)総合内科病棟入院中の高齢者で、抗うつ薬を投与する介入を行った。3)急性期病棟に入院した65歳以上の高齢患者を対象に、尿中3-メチルヒスチジン排泄量や尿中クレアチニン排泄量とTNF-αなどの炎症性サイトカインを測定した。4)大学栄養士・管理栄養士課程1年生・4年生、医学部1年生、大学附属病院老年科外来と市民病院内科外来の患者を対象に、アンケート調査を実施した。5)全国の認知症高齢者グループホームに対して、アンケート調査を行った。6)診療所群において、終末期ケアに関する前向き調査を実施した。
結果と考察
1)20ヶ月の調査期間に総数で63症例の在宅死の前向きデータを収集した。「高齢者の在宅死を可能とする要件」として、医師、訪問看護師、介護者の3要件の充実と介護者の経済的な保障が必須であることが分かった。2)今回、症例2例を提示した。高齢者医療では内科による精神機能への介入が必要である。3)尿中3-メチルヒスチジン排泄量と尿中クレアチニン排泄量は、いずれもCRPや白血球数と有意の関係を示さなかったが、TNF-αと有意の正相関を示した。急性期疾患をもつ高齢者では、TNF-αなどの炎症性サイトカインが筋蛋白の異化を亢進させ、筋肉量を急激に減少させている可能性がある。また、高齢患者の廃用症候群の予防には、早期からのリハビリテーションやアミノ酸などの栄養補給の必要がある。4)最もなりたくない病気については、女子大生、医学生、高齢者の全てにおいて認知症が最も多かった。認知症に関する正しい知識を高齢者のみならず若年者にも普及していく必要があると考える。5)終末期ケアの提供に前向きなホームには、医療的処置を提供できる、単独型である、教育を実施している、といった傾向がみられた。終末期ケアの実施に当たっては、施設や病院との連携や、職員に対する教育体制の確立が必要である。6)病名の告知率が低いこと、事前指定書の所持率が低いこと、終末期にみられる症状や行われた医療行為、などが分かった。
結論
高齢者施設・在宅における終末期ケアの実情が明らかになった。また、終末期教育が重要であった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200400324B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者の施設・在宅における終末像の実証的検証および終末期ケアにおける高齢患者の自己決定のための情報開示のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
葛谷 雅文(名古屋大学大学院 医学系研究科 健康社会医学専攻(発育・加齢医学講座老年科学))
研究分担者(所属機関)
  • 伴 信太郎(名古屋大学 医学部附属病院 総合診療部)
  • 服部 明徳(東京都老人医療センター)
  • 水川 真二郎(杏林大学 医学部  高齢医学教室)
  • 内藤 通孝(椙山女学園大学大学院 生活科学研究科 栄養保健科学教室)
  • 植村 和正(名古屋大学大学院 医学系研究科 分子総合医学専攻(病態内科学講座)  )
  • 益田 雄一郎(名古屋大学大学院 医学系研究科 健康社会医学専攻(発育・加齢医学講座老年科学))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者の終末期医療に関するガイドラインの作成に向けた議論を行う上の基礎資料を得ることである。 
研究方法
平成14年度は、医師・看護師・介護職員・高齢患者・家族を対象にした高齢者の終末期医療に関する調査、末期癌患者を看取った主介護者を対象にした意識調査、北海道地区・中部地区・沖縄地区の13施設における在宅終末期医療の実態・問題点に関する聞き取り調査、療養型病床群における認知症の有無による終末期医療の違いに関する調査、を行った。平成15年度は、訪問診療を受けている高齢終末期患者の終末期の症状・医療行為、介護者の気持ち、などに関する調査、総合内科病棟を退院した高齢患者を対象にしたADL・抑うつ状態・健康感に関するアンケート調査、介護老人保健施設の関係した症状・原因疾患などに関する調査、全国の認知症高齢者グループホームおよび介護老人保健施設を対象にした終末期ケアに関するアンケート調査、を実施した。平成16年度は、長野と沖縄地域の訪問看護師と遺族を対象にした質的調査、総合内科病棟入院中の高齢者を対象にした抗うつ薬を投与する介入、栄養科・医学科の大学生、老年科および内科外来患者を対象にしたアンケート調査、診療所群の高齢患者を対象にした終末期ケアに関する前向き調査、を実施した。
結果と考察
終末期医療には特別な配慮が必要であると考えている者が属性を問わず多かった。在宅での高齢者の看取りに関して、地域的、文化的な違いがみられた。高齢者の在宅死を可能とする要件として、医師、訪問看護師、介護者の3要件の充実と介護者の経済的な保障が挙げられた。また、「自立障害」を高齢者の終末期ととらえる傾向があった。療養型病床群において、終末期医療の内容は、認知症の有無で差がみられなかった。多くの認知症高齢者グループホームが終末期ケアを実施する方針であったが、医療の充実や利用者・家族の理解、職員に対する終末期教育の実施などが条件と考えられた。介護老人保健施設については、終末期ケアに関する方針・実施状況ともに大きな違いがみられた。在宅では、病名の告知率・事前指定書の所持率が低いこと、積極的医療はほとんど行われていなかったことが分かった。
結論
高齢者終末期ケアに関して、特に場所別に、関係者の意識、現状、問題点、など調査した。高齢者および家族の希望、終末期の全体像、ケアの提供状況などをさらに調査を進め、国民的議論を喚起する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-