文献情報
文献番号
200400322A
報告書区分
総括
研究課題名
老年病に対する成長ホルモン補充療法の有効性に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
千原 和夫(神戸大学大学院医学系研究科(応用分子医学講座))
研究分担者(所属機関)
- 加治 秀介(兵庫県立大学)
- 苅田 典生(神戸大学大学院医学系研究科)
- 置村 康彦(神戸大学医学部)
- 高橋 裕(神戸大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
2,020,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高齢者ではGH分泌が低下しており、老年病の成因にGH分泌不全が関与する可能性が指摘されている。この点を明らかにすることを目的とした。
研究方法
非器質的障害による成人GH分泌不全症(AGHD)に対するGH補償療法の効果
GH分泌不全が確認された健常、軽症疾患罹患高齢者4名に、12週にわたってGH補償療法をおこない、有効性を評価した。
AGHDに合併する代謝異常症
185例のAGHDと、性、年齢をマッチさせた非GHD成人下垂体機能低下症例74例で、6種類の代謝異常症(耐糖能異常/糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症、肥満、脂肪肝、高血圧)発症頻度の相対危険度を比較した。さらに補償ホルモンの各代謝異常症に及ぼす影響について調べた。
高齢者における血漿グレリン値とGH分泌予備能の関連
62歳以上の健常高齢者、および軽症疾患罹患高齢者(合計55名)に対し、アルギニン試験、およびL-ド-パ試験を行ない、各被験者のGH分泌予備能を検討した。また、GH刺激前後のグレリン値を測定、GH分泌とグレリン値の関連を検討した。
GH分泌不全が確認された健常、軽症疾患罹患高齢者4名に、12週にわたってGH補償療法をおこない、有効性を評価した。
AGHDに合併する代謝異常症
185例のAGHDと、性、年齢をマッチさせた非GHD成人下垂体機能低下症例74例で、6種類の代謝異常症(耐糖能異常/糖尿病、高コレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症、肥満、脂肪肝、高血圧)発症頻度の相対危険度を比較した。さらに補償ホルモンの各代謝異常症に及ぼす影響について調べた。
高齢者における血漿グレリン値とGH分泌予備能の関連
62歳以上の健常高齢者、および軽症疾患罹患高齢者(合計55名)に対し、アルギニン試験、およびL-ド-パ試験を行ない、各被験者のGH分泌予備能を検討した。また、GH刺激前後のグレリン値を測定、GH分泌とグレリン値の関連を検討した。
結果と考察
非器質的障害によるAGHDの臨床的特徴とGH補償療法の効果
全例で血漿IGF-I、IGFBP3値が増加し、血中LDL-コレステロール値は低下した。骨形成マーカー(血中PICP、BAP値)、骨吸収マーカー(尿中NTx排泄)も上昇した。明確な症状を欠くGH分泌不全者においても、加齢に伴う合併症の進展防止にはGH補償は有用である可能性がある。
AGHDに合併する代謝異常症
AGHDでは、男女に共通して耐糖能異常/糖尿病、高TG血症、脂肪肝の相対リスクが高い傾向がみられた。また男性では高コレステロール血症、肥満の、女性では高血圧の相対リスクも高い傾向がみられた。さらに、代謝異常症発症にGH以外の下垂体ホルモン欠損に対するホルモン補償の影響が否定できない結果が得られた。
高齢者における血漿グレリン値とGH分泌予備能の関連
血漿グレリン基礎値は、GH分泌不良群と分泌良好群間に有意差はなかった。血漿グレリン基礎値と、GH刺激試験におけるGH頂値の間には、それぞれ明確な相関はみられず、血漿グレリンは加齢に伴うGH分泌予備能の低下には関与しない可能性が示唆された。
全例で血漿IGF-I、IGFBP3値が増加し、血中LDL-コレステロール値は低下した。骨形成マーカー(血中PICP、BAP値)、骨吸収マーカー(尿中NTx排泄)も上昇した。明確な症状を欠くGH分泌不全者においても、加齢に伴う合併症の進展防止にはGH補償は有用である可能性がある。
AGHDに合併する代謝異常症
AGHDでは、男女に共通して耐糖能異常/糖尿病、高TG血症、脂肪肝の相対リスクが高い傾向がみられた。また男性では高コレステロール血症、肥満の、女性では高血圧の相対リスクも高い傾向がみられた。さらに、代謝異常症発症にGH以外の下垂体ホルモン欠損に対するホルモン補償の影響が否定できない結果が得られた。
高齢者における血漿グレリン値とGH分泌予備能の関連
血漿グレリン基礎値は、GH分泌不良群と分泌良好群間に有意差はなかった。血漿グレリン基礎値と、GH刺激試験におけるGH頂値の間には、それぞれ明確な相関はみられず、血漿グレリンは加齢に伴うGH分泌予備能の低下には関与しない可能性が示唆された。
結論
以上の成績はAGHDの病態理解や診断、治療をする上で有用である。
公開日・更新日
公開日
2005-04-11
更新日
-