高齢者における効果的な転倒予防活動事業の推進に関する研究

文献情報

文献番号
200400306A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者における効果的な転倒予防活動事業の推進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
新野 直明(桜美林大学)
研究分担者(所属機関)
  • 芳賀 博(東北文化学園大学)
  • 安藤 冨士子(国立長寿医療センター研究所)
  • 杉森 裕樹(聖マリアンナ医科大学)
  • 江藤 真紀(名古屋大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
6,004,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
=転倒予防活動を推進するための研究として、転倒予防活動事業の実態、必要なプログラム、人材、さらにその人材に求められる資質について調べるとともに、予防活動の新たな効果判定指標についても検討する。
研究方法
愛知県西枇杷島町における転倒予防事業の内容や効果の検討を継続した。宮城県米山町の70歳以上高齢者を対象にした1年間の縦断データより、転倒予防推進リーダー活動が、身体・心理・社会的側面へ与える影響について検討した。全国260市町村における転倒予防事業の実態調査結果から、事業の内容と効果についての検討を継続した。長寿医療センター研究所疫学研究部の「老化に関する長期縦断疫学調査」データから、転倒恐怖感の発生に関係する要因を検討した。転倒予防プログラムの新たな医療経済的評価法を探索するために、疾病が健康状態に与える損失を計算した健康指標であるThe Disability Adjusted Life Year(DALY)を用いて、転倒の影響評価を試みた。
結果と考察
西枇杷島町の転倒予防教室では、参加高齢者の転倒に対する意識付けができたと考えられる。2年間の調査・検診結果の比較検討により、さらに強い意識付けが期待される。転倒予防推進リーダー活動は、知的能動性、社会的役割、ライフスタイル、経済的ゆとり、近所および友達との交流頻度に対して、好影響をもたらすことが示唆された。全国の市町村における転倒予防事業の内容は、「講話」と「体操」が圧倒的に多く、この二つの組み合わせが転倒予防教室の定番と考えられる。また、効果評価をする市町村の約60%が「講話」と「筋トレ」を、約50%が「体操」と「歩き方教室」を有効としていた。中高年期には女性、高年代、さらに,男性では主観的健康感が不良、転倒,入院を経験,女性では骨折を経験の場合に,転倒恐怖感有へと移行する可能性が高かった。転倒恐怖感の予防には,これらの要因を考慮する必要があろう。傷害のDALYでは、75歳以上では転倒が大きな割合を占め、男性では傷害全DALYの69%,女性では45%であった。DALYは、転倒などの非致死的な傷害の医療経済的検討にも有用と考えられる。
結論
転倒予防事業の実態と効果に関する検討を継続するとともに、転倒予防に有効な心理的アプローチを探る研究を開始した。また、転倒予防プログラムの医療経済効果の新しい評価法としてDALYについて検討した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-