高齢者糖尿病治療と健康寿命に関するランダム化比較研究

文献情報

文献番号
200400287A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者糖尿病治療と健康寿命に関するランダム化比較研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
井藤 英喜(財団法人東京都保健医療公社 多摩北部医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科)
  • 柏木 厚典(滋賀医科大学内科学)
  • 山田 信博(筑波大学臨床医学系代謝・内分泌)
  • 横野 浩一(神戸大学大学院医学系研究科)
  • 梅垣 宏行(名古屋大学医学部附属病院老年科)
  • 三浦 久幸(国立長寿医療センター外来診療部)
  • 大庭 建三(日本医科大学老人科)
  • 荒木 厚(東京都老人医療センター内分泌科)
  • 神崎 恒一(東京大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
25,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者2型糖尿病の健康寿命の維持には、どのような治療法が最適であるか
を、ランダム化比較試験を用いて検討する。具体的には、中等度以上の耐糖能低下を示す高
齢者2型糖尿病を、成人糖尿病と同様の管理目標を達成すべく治療を行う強化治療群と主治
医が妥当と考える治療を行う通常治療群に無作為に分け、両群における糖尿病性細小血管
症、動脈硬化性血管障害、死亡、死因、ADL、認知機能、うつ状態、糖尿病負担度などの健
康寿命関連要因の推移を比較検討する。
研究方法
HbA1Cが7.5%以上およびHbA1Cがが7.0-7.5%で血圧、血清脂質あ
るいは体重が強化治療群における管理目標に達していない65歳以上の2型糖尿病症例を
登録する。登録症例を無作為に通常治療群と強化治療群の2群に分ける。強化治療群にお
いては、体重はBMI:25kg/m2、HbA1C:6.5%、血圧:130/85mmHg、血清脂質は日本
動脈硬化学会のガイドラインの成人の治療目標値を目指した治療を行う。一方、通常治療群
では、主治医が妥当と考える治療を行う。これら2群における諸検査値、および健康寿命関連
要因の推移を比較検討する。
結果と考察
本研究は平成12年から開始しているが、平成16年度は、平均追跡期間3年(第3年次)に相当する平成16年9月末までの調査を行った。
回収できた登録時(回収率95%)、第1(回収率:93%)、第2(回収率:95%)及び第3年次(回収率:86%)のデータを解析したところ、累積致死的44、非致死的75の計119のイベントの発生をみた。内容をみると、心筋梗塞15、狭心症11、突然死7、冠血管インターベンション9、脳血管障害37、入院を要する心不全8と心血管イベントが多発した。糖尿病に原因すると考えられる死亡、心疾患、脳血管障害、また総死亡などの発症頻度に2群間に有意な差違は認めなかった。さらに追跡開始後の体重、BMI、HbA1C、脂質値、血圧値なども両群においてほぼ同様の値で推移していた。
結論
世界に情報発信できる症例数を用い、脱落例の極めて少ない精度の高い追跡調査が行われた。サブ解析も含め調査結果の解析をさらに進めることにより、また分担研究の成果をとりいれることにより、健康寿命の維持・延長を目指した高齢者糖尿病の治療のあり方に対するエビデンスが得られるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200400287B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者糖尿病治療と健康寿命に関するランダム化比較研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
井藤 英喜(財団法人東京都保健医療公社 多摩北部医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科)
  • 柏木 厚典(滋賀医科大学内科学)
  • 山田 信博(筑波大学臨床医学系代謝・内分泌)
  • 横野 浩一(神戸大学大学院医学系研究科)
  • 梅垣 宏行(名古屋大学医学部附属病院老年科)
  • 三浦 久幸(国立長寿医療センター外来診療部)
  • 大庭 建三(日本医科大学附属病院老人科)
  • 荒木 厚(東京都老人医療センター内分泌科)
  • 神崎 恒一(東京大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者2型糖尿病の健康寿命を維持するうための治療法をランダム化比較試
験を用いて検討する。すなわち中等度以上の耐糖能低下を示す高齢者2型糖尿病を、強化
治療群と主治医が妥当と考える治療を行う通常治療群に無作為に分け、両群における糖尿病
性細小血管症、動脈硬化性血管障害、死亡、死因、ADL、認知機能、うつ状態、糖尿病負担
度などの健康寿命関連要因の推移を比較検討する。
研究方法
HbA1Cが7.5%以上およびHbA1Cがが7.0-7.5%で血圧、血清脂質あ
るいは体重が強化治療群における管理目標に達していない65歳以上の2型糖尿病症例を
登録する。登録症例を無作為に通常治療群と強化治療群の2群に分ける。強化治療群にお
いては、体重はBMI:25kg/m2、HbA1C: 6.5%、血圧:130/85mmHg、血清脂質は日本
動脈硬化学会の成人の治療目標値を目指した治療を行なう。一方、通常治療群では、主治
医が妥当と考える治療を行う。これら2群における諸検査値、健康寿命関連要因の推移を比
較検討する。
結果と考察
本研究は平成12年から開始しているが、本研究班では平均追跡期間2及び3年(第2および3年次)に相当する平成15及び16年9月末までの調査を行った。
回収できた登録時(回収率:95%)、第1(回収率:93%)、第2(回収率:95%)及び第3年次(回収率:86%)のデータを解析したところ、累積致死的イベントト44、非致死的イベント75の計119のイベントが発生した。イベントとしては、心筋梗塞15、狭心症11、突然死7、冠血管インターベンション9、脳血管障害37、入院を要する心不全8と心血管イベントが多発した。総死亡、糖尿病に原因すると考えられる死亡、心疾患、脳血管障害などの発生頻度には群間の有意差は認めなかった。さらに追跡開始後の体重、BMI、HbA1C、総コレステロール、トリグリセリド、HDL-コレステロール、収縮期血圧、拡張期血圧も両群においてほぼ同様の値で推移していた。このような事実は、高齢者糖尿病における強化治療の困難さをしめしているものと考えられる。
結論
高齢者2型糖尿病を対象とした大規模治療介入試験を実施した。世界に十分情
報発信できる症例数を用い、脱落例の極めて少ない精度の高い追跡調査が行われた。デー
タの更なる解析および分担研究の成果を合わせ考察し健康寿命の維持・延長を目指した高
齢者糖尿病の治療のあり方に対するエビデンスが得られるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-