運動・栄養による骨量減少予防効果に関する縦断的疫学研究-骨粗鬆症予防への遺伝子多型別のストラテジー

文献情報

文献番号
200400285A
報告書区分
総括
研究課題名
運動・栄養による骨量減少予防効果に関する縦断的疫学研究-骨粗鬆症予防への遺伝子多型別のストラテジー
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 富士子(国立長寿医療センター研究所 疫学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 下方 浩史(国立長寿医療センター研究所 疫学研究部)
  • 山田 芳司(三重大学 生命科学研究支援センター)
  • 新野 直明(桜美林大学大学院 国際学研究科老年学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
14,165,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は地域在住中高年者の日常レベルでの運動・食生活のあり方が骨量減少に及ぼす影響を検討し、さらに運動・栄養と骨密度との関連に骨粗鬆症関連遺伝子多型が及ぼす影響を解明することによって、遺伝子多型別の運動・栄養改善による骨粗鬆症予防ストラテジーの必要性を明らかにすることである。
研究方法
老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の第1次調査(40-79歳男女2215名)、第3次調査結果をデータベースとして用いた。DXA、pQCTによる骨密度測定(8カ所)、握力、脚筋力、青年期の定期的運動の有無などの運動関連項目(8項目)、3日間秤量記録食事調査による総エネルギー、カルシウム、ビタミンD、タンパク質摂取量(4項目)、内外の文献から抽出した骨密度関連候補遺伝子多型17種、今までに本コホートで測定済みの遺伝子多型約120種、過去1年間の転倒歴および転倒関連要因等を検討項目とし、骨密度に関連する遺伝子多型の抽出、骨密度と運動・栄養要因との関係に影響を及ぼす遺伝子多型の検討、易転倒性と骨密度との関連の横断的・縦断的検討を行った。
結果と考察
17遺伝子多型と骨密度との関連を検討した結果、3種の遺伝子多型と骨密度との有意な関連が明らかになった。2年間の研究結果として骨密度との有意な関連が認められた18種の遺伝子多型とそれに関連した候補遺伝子多型15種の計33遺伝子多型について運動・栄養と骨密度との関連に及ぼす影響を網羅的に検討した。運動と骨密度との関係には15種の遺伝子多型が影響を及ぼしており、栄養と骨密度との関係には16種の遺伝子多型が影響を及ぼしていた。9種の遺伝子多型は運動と栄養とで共通であった。また高齢女性では骨密度が低い者ではその後転倒を起こしやすいことが明らかになった。
結論
これらの遺伝子多型を有する者では運動・栄養などの生活習慣是正による骨密度減少予防効果がより大きくなる可能性があると考えられた。遺伝子多型によっては運動の多寡による骨密度の差が約2倍であるものもあり、骨粗鬆症の一次予防における運動・栄養改善の効果をあげるためには遺伝子多型別に個別に対応すること(オーダーメイド診断・予防)が効率的であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200400285B
報告書区分
総合
研究課題名
運動・栄養による骨量減少予防効果に関する縦断的疫学研究-骨粗鬆症予防への遺伝子多型別のストラテジー
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
安藤 富士子(国立長寿医療センター研究所 疫学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 下方 浩史(国立長寿医療センター研究所 疫学研究部)
  • 山田 芳司(三重大学 生命科学研究支援センター)
  • 新野 直明(桜美林大学大学院 国際学研究科老年学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は運動・栄養や転倒と骨密度低下との関連を遺伝子多型に着目して一つ検討し、遺伝子多型別の運動・栄養による骨粗鬆症予防ストラテジーの必要性を明らかにすることである。
研究方法
「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の第1次調査(40-79歳男女2215名)、第3次調査結果をデータベースとして用いた。DXA、pQCTによる骨密度測定(8カ所)、握力、脚筋力、青年期の定期的運動の有無などの運動関連項目(35項目)、3日間秤量記録食事調査による栄養素等摂取推定量(98項目)、食物群別摂取推定量(18項目)、本コホートで測定済みの遺伝子多型約100種と本研究で新規に測定した骨密度関連候補遺伝子多型28種、過去1年間の転倒歴および転倒関連要因等を検討項目とした。骨密度に関連する遺伝子多型の検索、骨密度に関連を持つ運動・栄養要因の抽出後、これらの遺伝子多型が骨密度と運動・栄養との関連に及ぼす影響について背景要因を調整して横断的・縦断的に検討した。また易転倒性と骨密度との関連についても横断的・縦断的に検討した。
結果と考察
新規に18種のSNPについて骨密度との有意な関連を明らかにした(11種については論文として公表)。同コホート内で骨密度との関連が確認された遺伝子多型およびその関連遺伝子多型計33種について運動・栄養と骨密度との関連に遺伝子多型が及ぼす影響を検討したところ、運動と骨密度との関係には15種の遺伝子多型が影響を及ぼしており、栄養と骨密度との関係には16種の遺伝子多型が影響を及ぼしていた。また高齢女性においては転倒歴の有る者では骨密度が低いこと、また骨密度が低い者は追跡調査で転倒しやすいことを明らかにした。
結論
これらの遺伝子多型を有する者では運動・栄養などの生活習慣是正による骨密度減少予防効果がより大きくなる可能性があると考えられた。遺伝子多型によっては運動の多寡による骨密度の差が約2倍であるものもあり、骨粗鬆症の一次予防における運動・栄養改善の効果をあげるためには遺伝子多型別に個別に対応すること(オーダーメイド診断・予防)が効率的であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-