高齢者高血圧における降圧利尿薬の適性使用のための無作為化臨床試験

文献情報

文献番号
200400279A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者高血圧における降圧利尿薬の適性使用のための無作為化臨床試験
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
植田 真一郎(琉球大学 大学院医学研究科 薬物作用制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 瀧下 修一(琉球大学 医学部 循環系総合内科学)
  • 河野 雄平(国立循環器病センター 高血圧腎臓部門)
  • 島本 和明(札幌医科大学 内科学第二講座 )
  • 津谷 喜一郎(東京大学 大学院薬学系研究科 医薬経済学)
  • 檜垣 實男(愛媛大学 医学部 内科学)
  • 福井 次矢(聖路加国際病院)
  • 楽木 宏実(大阪大学 大学院医学研究科 加齢医学)
  • 島袋 充生(琉球大学 医学部 内科学第二講座)
  • 浦江 明憲(医療法人相生会(九州臨床薬理研究所))
  • 安成 憲一(大阪市立大学 大学院医学研究科 循環器病学)
  • 東 幸仁(広島大学 大学院医歯薬総合研究科 心臓血管生理医学講座)
  • 宮川 政昭(宮川内科小児科医院)
  • 森本 剛(京都大学 大学院医学研究科 臨床疫学)
  • 梅村 敏(横浜市立大学 医学部 内科学第二講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
16,911,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は高齢者高血圧患者における降圧利尿薬治療の妥当性を、安全性、費用対効果、降圧効果を評価するランダム化臨床試験により証明することである。また糖尿病発症に関する代替エンドポイントの評価や本来の研究者主導型臨床試験に必要な基盤整備を行うことも目的とする。
研究方法
高齢者高血圧患者をランダムに降圧利尿薬使用群と非使用群に割付け、降圧治療をおこなう。使用群では低用量の降圧利尿薬から開始し,併用は自由である。非使用群は降圧利尿薬以外のいかなる降圧薬も使用可能である。プラセボは用いず、PROBE法を採用した。一次エンドポイントは新規糖尿病の発生,二次エンドポイントは痛風、治療抵抗性低カリウム血症、勃起障害、心血管イベントで費用対効果の解析を合わせて行う。
臨床試験のための基盤整備として試験事務局の設置、症例登録センターの設置、臨床試験コーディネーター(CRC)の教育訓練と各施設へ派遣しての症例登録支援を行った。
結果と考察
現在本研究は症例登録を開始している。試験事務局は琉球大学に、登録割付け,データマネージメントセンターを京都大学に設置した。ここにはリサーチクラーク,リサーチアシスタントが常駐し試験実施を支援している。CRCの教育を行い、各施設に試験実施支援のために派遣することができた。この方法により外来での症例登録が円滑に進行するようになった。分担研究者の宮川はこれを自身の医院の医療スタッフを訓練することにより実現させているが、そのように各研究機関で研究支体制を組めることが本来は望ましい。

本研究が実施できれば少量の降圧利尿薬併用療法の主に糖代謝における安全性や効果、費用対効果に関する妥当性が確立し、適切な用量や併用薬に関しても情報が得られる。そして日本においても安価で中立な立場からの真の意味での医師主導型臨床試験の実施が可能であることを示すことができる。

また糖尿病発生に伴う動脈硬化性疾患進行リスクを評価する代替エンドポイントとして脈派伝播速度、血管内皮機能などが検討され,妥当性が確認された。
結論
本研究により高齢者高血圧患者における降圧利尿薬使用の妥当性が安全性の面から確立できれば降圧利尿薬に関する適切な啓蒙が可能になり高齢者における特に脳卒中のリスク減少に寄与する。本研究で検討された代替エンドポイントは治療中の糖尿病発症リスク管理に有効であり、本研究で整備されつつある基盤は今後の本来の医師主導型研究の実施に資すること大であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200400279B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者高血圧における降圧利尿薬の適性使用のための無作為化臨床試験
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
植田 真一郎(琉球大学 大学院医学研究科 薬物作用制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 瀧下 修一(琉球大学 医学部 循環系総合内科学)
  • 河野 雄平(国立循環器病センター 高血圧腎臓部門)
  • 島本 和明(札幌医科大学 内科学第二講座)
  • 津谷 喜一郎(東京大学 大学院薬学系研究科 医薬経済学)
  • 檜垣 實男(愛媛大学 医学部 内科学)
  • 福井 次矢(聖路加国際病院)
  • 楽木 宏実(大阪大学 大学院医学研究科 加齢医学)
  • 島袋 充生(琉球大学 医学部 内科学第二講座)
  • 浦江 明憲(医療法人相生会(九州臨床薬理研究所))
  • 安成 憲一(大阪市立大学 大学院医学研究科 循環器病学)
  • 東 幸仁(広島大学 大学院医歯薬総合研究科 心臓血管生理医学講座)
  • 宮川 政昭(宮川内科小児科医院)
  • 森本 剛(京都大学 大学院医学研究科 臨床疫学)
  • 梅村 敏(横浜市立大学 医学部 内科学第二講座)
  • 松岡 秀洋(久留米大学 医学部 第三内科講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は高齢者高血圧患者における降圧利尿薬治療の安全性(新規糖尿病の発症など)、費用対効果、降圧効果に関する妥当性を証明し、その結果を広く啓蒙することである。このことは結果として高齢者高血圧における脳卒中減少をもたらすと考えられる。また本研究の実施により本来の研究者主導型臨床試験に必要な基盤整備を行う。
研究方法
2400人の、適合基準を満たし、除外基準に抵触しない高血圧患者をランダムに降圧利尿薬使用群と非使用群に割付け、降圧治療をおこなう。使用群では低用量の降圧利尿薬から開始し,併用は自由である。非使用群は降圧利尿薬以外のいかなる降圧薬も使用可能である。プラセボは用いず、PROBE法を採用した。一次エンドポイントは新規糖尿病の発生,二次エンドポイントは痛風、治療抵抗性低カリウム血症、勃起障害、心血管イベントで費用対効果の解析を行う。
臨床試験のための基盤整備として試験事務局の設置、症例登録センターの設置、臨床試験コーディネーター(CRC)の教育訓練と各施設へ派遣しての症例登録支援を行った。
結果と考察
現在本研究は症例登録を開始している。われわれは独自にCRCの教育を行い、各施設に試験実施支援のために派遣するという方法を用いている。現在訓練されたCRCが施設登録の支援、倫理委員会申請の補助、スクリーニング業務、手順書の作成、同意説明の補助など支援業務を行っている。この方法により外来での症例登録が円滑に進行するようになった。

本研究が実施できれば少量の降圧利尿薬併用療法の安全性や効果、費用対効果に関する妥当性が確立し、日本人高齢者高血圧患者における適切な用量や併用薬に関しても情報が得られる。医師および患者さんへも降圧利尿薬に関する啓蒙を行えば、必要なときに安心して処方または服用していただけることになり、心血管リスク減少、医療費の減少をもたらすことになる。そして日本においても安価で中立な立場からの真の意味での医師主導型臨床試験の実施が可能であることを示すことができる。
結論
本研究により高齢者高血圧患者における降圧利尿薬使用の妥当性が確立できる。降圧利尿薬に関する適切な啓蒙が可能になれば高齢者における特に脳卒中のリスク減少に寄与する。本研究で構築した地域研究ネットワークやCRCの教育派遣システムは今後の本来の医師主導型研究の実施に資すること大であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-