高齢者の口腔保健の維持増進に関する研究

文献情報

文献番号
200400277A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の口腔保健の維持増進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石井 拓男(東京歯科大学 社会歯科学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 宮武 光吉(鶴見大学 歯学部)
  • 新庄 文明(長崎大学 大学院 医歯薬学総合研究科 健康予防科学 公衆衛生)
  • 山根 源之(東京歯科大学 市川総合病院 オーラルメディシン)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,815,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人住民に対する継続的な歯科健康管理プログラムを実施し高齢者の口腔保健の維持・増進に有効な世代別に見た歯科保健の課題を明確にすると共に、急性期・慢性期・介護施設・在宅の各段階における医科歯科連携による有効な歯科保健指導管理のあり方を検討することを目的とした。
研究方法
①介護施設1713施設に対してアンケート調査を実施し、施設の種類と専門職員数とその構成、とアンケート項目との検討、設問間の相関関係を分析した。②クリティカルパスにおける口腔ケアの有用性について複数病院の副看護師長に対し感想を自由記載してもらった。③成人歯科保健事業の実績からみた歯の喪失防止効果について初回受診時に有歯顎であった者の2回の健診の間を観察期間として、一年あたり平均の喪失歯数を求めた。
結果と考察
①施設利用者の経口摂取可否の診査は看護師や介護職が、決定は医師が、食事形態の決定は看護師、医師が行っていた。咀嚼機能評価で義歯以外は歯科医へ依頼は少なかった。平均入所期間が短い施設ほど医師や看護師が口腔機能の評価を行い、食事形態の決定に関与し、提供可能な食事の種類が多い傾向にあり、嚥下機能の評価と訓練を実施していた。舌や嚥下の機能評価を行っている施設は看護師、医師、言語聴覚士が口腔内の観察を行っていた。介護老人保健施設、療養型病床群を有する病院では提供可能な食事の種類が多く、グループホームは少なかった。歯科に関する情報がある施設では入所時に経口摂取の可否の診査を行っていた。②クリティカルパスの口腔ケアアセスメントシートは急性期から慢性期の機能障害のある患者にも有用であった。歯科医師・歯科衛生士が積極的に急性期医療に参加できる体制が確立されていくことが必要と考えられた。③健診受診者の1年あたり平均喪失歯数は、健診結果にもとづく個別歯科保健指導ならびに予防目的で歯科を受診した回数が多くなるほど少なく歯の喪失防止効果が期待できることが示唆された。
結論
①各施設における入所者の経口摂取に医師・看護師が積極的に参加し、歯科との連携を推進することが良好な結果を得ることが出来る。②クリティカルパスの口腔ケアアセスメントシートは急性期から慢性期の高次機能障害のある患者にも有用であった。③成人歯科健診の結果にもとづいて、予防目的で歯科を受診した回数が多い者ほど1年あたりの平均喪失歯数は少なかった。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200400277B
報告書区分
総合
研究課題名
高齢者の口腔保健の維持増進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石井 拓男(東京歯科大学 社会歯科学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 宮武 光吉(鶴見歯科大学 歯学部)
  • 新庄 文明(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科健康予防科学公衆衛生)
  • 山根 源之(東京歯科大学 市川総合病院 オーラルメディシン)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人住民に対する継続的な歯科健康管理プログラムを実施し高齢者の口腔保健の維持・増進に有効な世代別に見た歯科保健の課題を明確にすると共に、急性期・慢性期・介護施設・在宅の各段階における医科歯科連携による有効な歯科保健指導管理のあり方を検討することを目的とした。
研究方法
①介護施設へ口腔ケアに対する意識、知識、現状、歯科医療との関係等の質問紙調査を行った。②ラクナ梗塞の患者に対し、脳神経外科医師・歯科医師・歯科衛生士による口腔ケアの標準化を試み脳血管障害患者用クリティカルパスを検討した。③全国の国保直診歯科診療所で継続管理した患者について一年あたり平均の喪失歯数を求め歯科保健事業の実施の効果について考察した。
結果と考察
①ほとんどの介護施設で介護計画に口腔ケアはあった。口腔ケアの主担当者は介護職員であった。経口摂取を行っている方が行っていない場合よりも口腔ケアのレベルが高かった。42.3%の施設は協力歯科医療機関からの口腔ケアの情報提供がなかった。経口摂取の可否の決定は医師が行い、食事形態の決定者は看護師、医師が多かった。平均入所期間が短い施設ほど医師や看護師が口腔機能の評価を行い、食事形態の決定に関与することが多かった。介護老人保健施設、療養型病床群を有する病院では提供可能な食事の種類が多かった。②口腔ケアを取り入れた脳血管障害患者用クリニカルパスの嚥下機能評価は歯科医師・医師が行うべきであるとされた。アセスメントシートは簡便なタイプのものを普及させる必要があるとされた。③成人歯科保健事業の歯の喪失防止効果は60歳代、70歳代が高く、健診の重要性が示唆された。年間平均喪失歯数は観察期間が長いほど少なった。健診結果にもとづく個別歯科保健指導と、予防処置を目的とした歯科受診の歯の喪失予防効果が高かった。成人歯科健診事業を継続的に活用することにより60%が8020を達成できる可能性が示唆された。
結論
①介護計画に口腔ケアが含まれている施設が多いが歯科医療機関からの情報提供が少ない。医師、看護師が口腔ケア・経口摂取に積極的な施設ほど平均入所期間が短い等の良好な傾向にあった。②口腔ケアと摂食指導を確実に根付かせるために、口腔ケアを取り入れた脳血管障害患者用クリニカルパスが有用であった。③成人歯科健診を継続的に実施することで80歳における現存歯数20本を達成できる可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-