ゲノム情報に基づくホルモン補充療法合併症の発症予測システムの開発

文献情報

文献番号
200400264A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム情報に基づくホルモン補充療法合併症の発症予測システムの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
高柳 涼一(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 濱崎 直孝(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
  • 古野 純典(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
  • 林 純(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
  • 大中 佳三(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
  • 河手 久弥(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
老年病に対する主要な治療方法の一つであるホルモン補充療法は、近年の大規模臨床試験で静脈血栓症や冠動脈疾患のリスク増加の報告がなされたが、そのメカニズムは不明である。本研究は日本人の血栓性素因に深く関与する凝固制御因子プロテインSに対するエストロゲンの影響と、プロテインS遺伝子異常の心血管疾患発症への関与を検討することを目的とする。
研究方法
1)ヒトプロテインS遺伝子のpromoter領域をルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込んだ発現vectorをヒト肝癌由来細胞株にtransfectionし、エストロゲンのpromoter活性への影響を測定する。promoter領域を順次deletionやmutationしたplasmid vectorを用いて、エストロゲンの応答領域を決定する。
2)血栓症症例65例と正常例50例でプロテインS遺伝子のpromoter領域(6.0kb)の全sequenceを行う。
3) 21世紀COEプロジェクトで構築中のコホート集団に、頸動脈エコーによる動脈硬化度の計測・評価、血栓症や心血管疾患の病歴・家族歴の調査、プロテインS活性測定とゲノム情報の収集を行う。
結果と考察
1)生理的濃度のエストラジオールはヒトプロテインS遺伝子のpromoter活性を約20%抑制し、この抑制に関与する12bpの応答領域を見いだした。応答領域は古典的エストロゲン応答配列とは異なるため、この領域に結合する因子の存在をEMSA法にて確認し、yeast hybrid法にてクローニングを行っている。
2)血栓症症例65例および正常例50例についてプロテインS遺伝子のpromoter領域(6.0kb)の遺伝子解析を行い、10カ所にSNPs、1カ所に欠失変異を同定した。6カ所は新規のものであった。
3)構築中のコホート集団に関し、約8000例のゲノムを集積した。約4,000例に動脈硬化度の計測・評価、血栓症や心血管疾患の調査を行った。比色法を用いたより簡便なプロテインS活性の測定法を開発した。
結論
1)エストロゲンによるプロテインS遺伝子発現調節に関与する応答領域を同定した。
2)プロテインS遺伝子promoter領域に6カ所の新規SNPsを同定した。
3)構築中のコホート集団にて、約8000例のゲノムと約4000例の臨床データを集積した。
4)プロテインS活性の新しい測定法を開発した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-