在宅要介護者に対するリハビリテーション医療介入-要介護状態が改善可能なケースの効率的スクリーニングと効果的介入のためのモデルシステム構築に関する研究-

文献情報

文献番号
200400253A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅要介護者に対するリハビリテーション医療介入-要介護状態が改善可能なケースの効率的スクリーニングと効果的介入のためのモデルシステム構築に関する研究-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
里宇 明元(慶應義塾大学 医学部リハビリテーション医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷 公隆(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室)
  • 大塚 友吉(国立病院機構東埼玉病院)
  • 藤原 俊之(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室)
  • 出江 紳一(東北大学大学院運動障害学講座)
  • 太田 喜久子(慶應義塾大学看護医療学部)
  • ラウ 優紀子(慶應義塾大学看護医療学部)
  • 藤本 幹雄(美原記念病院リハビリテーション科)
  • 宮下 有紀子(永生病院リハビリテーション科)
  • 藤原 泰子(済生会三田訪問看護ステーション)
  • 沼田 美幸(セコム医療システム株式会社看護部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,835,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
仮の要介護状態を効率的にスクリーニングし、地域資源の連携による効果的な介入を保証するシステムはこれまでに確立されたものはない。
 われわれは維持期でもちいるのに適切なADLの評価法、ならびに「仮の要介護状態」をスクリーニングするための評価表を作成し、その効果を検証することを目的として、運動器リハビリテーション適応患者判定シート(以下、リハ適応判定シート)、FIM(Functional Independence Measure)短縮版を開発した。
研究方法
1)FIM短縮版の開発
 訪問看護サービスを利用している398例の在宅要介護者のデータを用いて、最小限の採点項目の組み合わせでADL全体を評価できる項目の組み合わせを統計学的に検証した。
2)リハ適応判定シートの開発
 内容妥当性の検討、ならびに予備的訪問調査を行い、リハ適応判定シートを作成した。108例の訪問看護利用者を対象に、判定精度について交差妥当性を検証した。
結果と考察
1)FIM短縮版の開発
Rasch変換、重回帰分析、臨床経験に基づいて、9つのモデルを作成した。全てのモデルは13項目での評価と高い相関を示した(ICC >0.90)。
2)リハ適応判定シートの開発
 内容妥当性の検討をもとに、トリガー、要因、適応の3つのカテゴリーから構成されるリハ適応判定シートを作成した。訪問看護師がリハ適応判定シートによる評価をおこなった結果、項目調整後の感度は0.50、特異度は0.83となった。
 これらの結果をもとに、仮の要介護者に対するスクリーニングとリハ介入、さらに介護予防へ向けたサービスの効率的運用のためのモデル事業を考案した。専門的リハ介入の連携をスムーズに行うために、リハ介入レベルを規定するためのスケールを作成し、その実用を検討した。
結論
FIM短縮版はFIMと高い相関が示され、リハ適応判定シートは実効性のあるスクリーニング法として地域での活用が可能であると考えられた。今後、リハ適応判定シートを用いてスクリーニングし、適切なリハ医療介入へつなげるためのシステム運用を行う予定である。
 限られたリハ医療資源を活用しながら要介護状態の改善・増悪予防を図るためのモデルシステムを開発することにより、社会全体の介護をめぐる人的・経済的負担を軽減し、ひいては国民の健康・福祉の向上に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-07-19
更新日
-