文献情報
文献番号
200400213A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト硫酸転移酵素遺伝子ファミリーの網羅的機能解析
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
榊原 陽一(宮崎大学農学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
生体内において非常に多様な機能に関与するヒト硫酸転移酵素に関して網羅的機能解析を行い、トキシコゲノミクス分野における硫酸転移酵素の機能解明と研究成果のテーラーメイド医療への応用の可能性を検討する。本研究計画では、全ての硫酸転移酵素遺伝子(SULT)のクローニングとリコンビナント酵素の調製を行い、ヒト硫酸転移酵素の網羅的機能解析を行う。平成16年度は、11種類の薬物成分対する硫酸転移酵素の基質特異性を検討した。さらに、内分泌かく乱物質による硫酸転移酵素の阻害作用についても検討した。将来的には、これらの結果を活用し、トキシコゲノミクス分野における硫酸転移酵素の機能解明とこれらの研究成果の医薬品の効率的な開発およびテーラーメイド医療への応用を目指す。
研究方法
新規ヒト硫酸転移酵素SULT6A1はゲノムデータベースの解析により発見し、PCRにより増幅を行いそのアミノ酸配列を決定した。リコンビナント酵素はGSTとの融合タンパク質として発現した。ヒト硫酸転移酵素8種は、大腸菌でGST融合タンパク質として発現し、酵素活性を確認した。精製酵素は、11種類の薬物成分に対する基質基質特異性を検討した。さらに、同じく8種の硫酸転移酵素を用いて4種の内分泌かく乱物質が硫酸転移酵素を阻害し、内因性のホルモン濃度調節機構としての硫酸化に与える影響を検討した。
結果と考察
ヒトSULT6A1は、912bpのORFを完全に含むPCR産物が増幅し、303 アミノ酸をコードしていることが判明した。リコンビナント酵素はGSTとの融合タンパク質として大腸菌で発現し、調製した。
SULT1A1がAmoxicillin, Ethinylestradiol, (R)-(-)-Phenylephrineに対し硫酸化を触媒し、SULT1A3がAllopurinol、Ethinylestradiol, (R)-(-)-Phenylephrine, Salbutamol sulfateに対し硫酸化を触媒することが判明した。
SULT1A1がAmoxicillin, Ethinylestradiol, (R)-(-)-Phenylephrineに対し硫酸化を触媒し、SULT1A3がAllopurinol、Ethinylestradiol, (R)-(-)-Phenylephrine, Salbutamol sulfateに対し硫酸化を触媒することが判明した。
結論
種々の薬物成分の硫酸化に関する研究より、ヒトにおいてはSULT1A1およびSULT1A3が薬物成分の解毒代謝機構において中心的な役割を果たしていると考えられた。しかしながら、今後より多くの医薬品及び医薬品候補成分に関する研究の必要性が強く考えられた。そして、生体外異物が硫酸転移酵素によって代謝されるとともに内因性のホルモンや神経伝達物質の濃度調節機構としての硫酸化を阻害することが内分泌かく乱物質を用いた研究で明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2005-05-11
更新日
-