文献情報
文献番号
200400211A
報告書区分
総括
研究課題名
組換え胎盤培養細胞を用いた新規作用を有する化合物のスクリーニングシステムの構築及び核内受容体の同定
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大迫 誠一郎(独立行政法人国立環境研究所 環境健康研究領域)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【トキシコゲノミクス分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医薬品候補化合物の中にはエストロジェン受容体(ER)等の既知の核内受容体との相互作用からその生理作用が論じられてきたものが多い。Diethylstilbestrol(DES)は流産防止薬として一時使用され、ERとの相互作用から薬効が生じるとされていたが、オーファン受容体のERRβに結合し、細胞分化を変調させることが胎盤由来幹細胞によって明らかにされた。本研究では2種のER(ERα, ERβ)をともに発現していないラット胎盤由来幹細胞Rcho-1を用い、細胞分化を指標に新規化合物をスクリーニングするシステムを構築することを目的とする。本年度は、Rcho-1分化に影響を与える化合物であるRetinoic acid(RA)、DES、ICI182,780(ICI)Carbaryl(CB)を曝露した際に核内コンテンツの変動するタンパクの同定を行った。
研究方法
Rcho-1分化に影響を与えた化合物としてRA、DES、ICI、CB(10 µM)をRcho-1培養系に添加、各群の核内タンパク分画を調整し、二次元電気泳動により展開、対照群との比較で、コンテンツの変動したスポットのESI-MS/MS解析を行った。
結果と考察
レポーターアッセイで分化誘導能が最も高かった CBで核内コンテンツの上昇するスポット4種を解析したところ、Nclear RNA helicase, DECD variant of DEAD box family(DDX1)ならびにNeuroral differentiation proteinが核内分布を示す遺伝子として同定された。ラットのDDX1はStrausbergらにより報告されたNIHのMGCにおける完全長cDNAサンプル内で報告された機能未知のタンパクである。Nuclear RNA helicaseは、転写後調節のみならず転写自体にも作用を持つ核内分子としてその多機能性が論じられている。今回我々が発見したRcho-1細胞におけるCBによるこのタンパクの変動は、細胞の分化においてこのタンパクが何らかの作用を持つことを意味しているかもしれない。
結論
ERを発現していない胎盤幹細胞Rcho-1を用いたスクリーニングシステムにより、分化促進作用のあるCBを用いて、核内コンテンツの変動するタンパクの同定を行い、Nuclear RNA helicaseファミリーを検出した。
公開日・更新日
公開日
2005-04-27
更新日
-