半導体などナノ粒子によるDDS

文献情報

文献番号
200400204A
報告書区分
総括
研究課題名
半導体などナノ粒子によるDDS
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山本 健二(国立国際医療センター研究所、医療生態学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 湯尾明(国立国際医療センター研究所、血液疾患研究部)
  • 狩野繁之(国立国際医療センター研究所、適正技術開発移転研究部)
  • 切替照雄(国立国際医療センター研究所、感染熱帯病学)
  • 名取泰博(国立国際医療センター研究所、臨床薬理研究部)
  • 土肥多惠子(国立国際医療センター研究所、消化器疾患研究部)
  • 加藤規弘(国立国際医療センター研究所、遺伝子診断治療開発研究部)
  • 鈴木和男(国立感染症研究所、生物活性研究部)
  • 近藤 昭彦(神戸大学工学部、応用科学科)
  • 太田 敏夫(東京薬科大学、環境生物)
  • 落谷孝広(国立がんセンター研究所、国立がんセンター研究所)
  • 斯波真理子(国立循環器病センター研究所、分子生物学)
  • 片岡一則(東京大学大学院工学系研究科、材料工学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
100,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、半導体などのナノ粒子を用い薬物の伝達システム及び遺伝子伝達システムの開発を目的にしている。それに伴い、半導体などナノ粒子の細胞毒性等の安全性について検討すると同時に一桁ナノ粒子の持つ量子サイズ効果などによる、蛍光プローブとしての生物・医療応用を含めて検討することを目的としている。特に本研究は、半導体などナノ粒子を用いて薬剤伝達システムを開発することを目的としている。薬剤伝達システムは、副作用の軽減、治療効果の向上、疾病治療にあたってQOLの向上を目指す。
研究方法
安全性についての検討は、これまでにMTTアッセイ法を用いてミトコンドリアの呼吸能力を計測することにより行った(A. Shiohara et al., Microbiol. Immunol 2004)。この研究により、細胞毒性については、閾値が存在することを明らかした。これにより安全基準を設定することが可能となり、医療応用や産業化において重要な一歩を刻した。本年度はこの細胞毒性は、ナノ粒子の表面加工に依存し生物・医療応用に最適な表面加工およびその製造過程を明らかにした(A. Hoshino et al., Nano Letters (in press))。
結果と考察
本年度、世界で初めて量子ドットを降圧剤に結合することに成功し、量子ドットのマーカーをつけた薬物の作成に成功した。このマーカー付き薬物(ACE阻害薬)を、in vitroで薬物活性が存在することを明らかした。更に動物実験についても行うことに成功した。このマーカー付き薬物を、家族性高血圧ラットに投与したところ最高血圧が200mmHgから50mmHg優位に低下した。またコントロール群と比較しても有意であった(n=6)。またin vivoにおいても薬物活性を示したことから、薬剤とその血液中の活性を測定することが可能となる。この研究が独創的であり、ヒトへの臨床応用可能であると期待している。実際、薬物に結合させ動物実験成功にまで至っているため、2005年1月に合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市で開催された量子ドットコロキアムにおいて招待講演の依頼があり、また合衆国(MITなど)やフランス(Ecole de Polytechnique)などの著名なこの分野における研究者の発表の議長も依頼され、本研究がその指導的役割を果たした。
結論
量子ドットの安全性についての検討を行い、表面加工に強く依存することが判明した。
マーカー付き薬物を量子ドットにより実現し、薬物の安全性の向上に繋がることを示した。
わが国の量子ドットによるDDS研究が国際的に大きく評価された。

公開日・更新日

公開日
2005-07-12
更新日
-