重度の起立性低血圧による寝たきりを防止するバイオニック血圧制御装置の要素技術の開発及びその臨床応用

文献情報

文献番号
200400191A
報告書区分
総括
研究課題名
重度の起立性低血圧による寝たきりを防止するバイオニック血圧制御装置の要素技術の開発及びその臨床応用
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
谷 俊一(高知大学(医学部))
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 文靖(高知大学 医学部)
  • 宍戸 稔聡(国立循環器病センター研究所 循環動態機能部)
  • 佐藤 隆幸(高知大学 医学部)
  • 小椋 敏彦(株式会社コーリンメディカルテクノロジー 開発部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 萌芽的先端医療技術推進研究【ナノメディシン分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自律神経失調症では、生命維持に極めて重要な血管運動中枢が侵され、動脈圧受容器を介した交感神経系による血圧調節機能が廃絶するため、重度の起立性低血圧をおこし、ついには、寝たきり状態となることが多い。本研究では、血管運動中枢機能を代替するデバイス、圧受容器を代替する圧バイオセンサー、交感神経遠心路を代替する神経刺激用マイクロ電極の3要素の開発を行い、その評価を実験的臨床研究にて行う。今年度は、血管運動中枢の機能を代行するロジックの開発を重点的に行った。
研究方法
1.圧バイオセンサーによる血圧計測→血管運動中枢を代替する人工的血管運動中枢代替デバイス→交感神経遠心路を代替する神経刺激用マイクロ電極→交感神経節後線維→血管床からなるフィードバック血圧制御装置を試作・設計した。
2.ジメチルアクリルアミドポリマーの側鎖にフェニルアジド基を導入した光反応性水溶性高分子でポリウレタンチューブ(hPU)を表面加工し、抗血栓性血管内留置カテーテルを試作した。
3.血漿ノルエピネフリン値を交感神経活動の指標とし、自律神経節遮断薬を用いた開ループ法により、ヒト動脈圧反射の平衡線図解析法が可能か否かを健常ボランティアを対象として検討した。
(倫理面への配慮)
本研究実施計画は、平成14年10月23日に高知大学医学部倫理委員会に承認されている。
結果と考察
1.下部胸髄の不規則刺激に対する動脈圧応答の記録を20例の患者から取得し、伝達関数を求めた。数値シミュレーションにより、比例・積分補償型のネガティブフィードバック制御法を用いればヒトの動脈圧を制御可能であることがあきらかとなった。
2.hPUは、大動脈内に2週間留置した場合には、血栓付着を認めなかったが、4週間後には一部付着を認めた。
3.15名の健常男性を対象として、血漿ノルエピネフリン値-動脈圧関係からなる動脈圧反射の平衡線図を得ることができた。制御部の設定値は約110 mmHgであった。
結論
1.ヒトの血圧をサーボ制御するための人工的血管運動中枢の動作原理の設計に成功した。
2.今回用いた光反応性水溶性高分子は、血管内圧センサーのコーティング素材としては長期安定性に欠けることがあきらかになった。
3.血漿ノルエピネフリン値を交感神経活動の指標とした手法で、ヒトの交感神経性動脈圧反射の平衡線図解析に成功した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-13
更新日
-