骨髄ストローマ由来因子による造血幹細胞の増幅

文献情報

文献番号
200400092A
報告書区分
総括
研究課題名
骨髄ストローマ由来因子による造血幹細胞の増幅
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
北村 俊雄(東京大学医科学研究所細胞療法分野)
研究分担者(所属機関)
  • 野阪 哲哉(東京大学医科学研究所造血因子探索研究部門)
  • 中島 秀明(東京大学医科学研究所細胞療法分野細胞療法分野)
  • 上野 博夫(国立がんセンター研究所ウイルス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
26,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は、造血幹細胞の自己複製メカニズムについてストローマ細胞に夜制御の観点から研究を行ってきたが、近年これに関わる骨髄ストローマ細胞由来因子としてISF(immune suppressor factor)(J.Biol.Chem.2001)およびmKirre(Nat.Immunol.2003)を同定し報告した。
本研究の目的は、ISFおよびmKirreの研究を通じて骨髄ストローマ細胞による造血幹細胞の自己複製メカニズムの解明と骨髄ニッチとの機能的関係を明らかにすることである。
研究方法
mKirreおよびISFの 1)発現部位の解析 2)ノックダウンしたストローマ細胞による造血支持能の解析を行なった。
またISFに関しては下流の遺伝子発現変化をcDNAマイクロアレイを利用して調べた。mKirreに関してはノックアウトマウスの樹立、リガンドの同定を試みた。
結果と考察
ISFはプロトンポンプのサブユニットであり、その造血支持能にはポンプ活性が必須であった。興味深いことにISFは細胞膜上ではなくER膜上に主に発現していた。ISFの発現は多くの細胞に普遍的に認められ、生理的な条件下で造血にどれだけ関与しているかは現時点では不明である。ISFを過剰発現した場合のストローマ細胞における遺伝子発現変化をDNAチップで調べ、ISFによる造血幹細胞の増幅の少なくとも一部はSFRP-1およびTIMP3の発現抑制によることを見いだした。
一方、mKirreの発現は胎生期では造血幹細胞の発生の地であるAGM(Aorta-Gonado-Methonephros)領域、成体では骨髄中の骨膜に近接した骨芽細胞(つまり造血ニッチと考えられている部位)に発現していることが明らかにした。mKirreのノックアウトマウス作成およびリガンド同定は現在までのところ成功していない。
結論
プロトンポンプのサブユニットであるISFはユビキタスに発現されている分子であり、生理的な条件下における造血への関与は不明である。ストローマ細胞に過剰発現した場合の造血支持能の亢進はISF過剰発現によるストローマ細胞の遺伝子変化によることと考えられる。一方のmKirreは生体内においても造血に深く関与していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200400092B
報告書区分
総合
研究課題名
骨髄ストローマ由来因子による造血幹細胞の増幅
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
北村 俊雄(東京大学医科学研究所細胞療法分野)
研究分担者(所属機関)
  • 野阪 哲哉(東京大学医科学研究所造血因子探索研究部門)
  • 中島 秀明(東京大学医科学研究所細胞療法分野)
  • 上野 博夫(国立がんセンター研究所ウイルス部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は、造血幹細胞の自己複製メカニズムについてストローマ細胞に夜制御の観点から研究を行ってきたが、近年これに関わる骨髄ストローマ細胞由来因子としてISF(immune suppressor factor)(J.Biol.Chem.2001)およびmKirre(Nat.Immunol.2003)を同定し報告した。
本研究の目的は、ISFおよびmKirreの研究を通じて骨髄ストローマ細胞による造血幹細胞の自己複製メカニズムの解明と骨髄ニッチとの機能的関係を明らかにすることである。
研究方法
mKirreおよびISFの 1)発現部位の解析 2)過剰発現あるいはノックダウンしたストローマ細胞による造血支持能の解析を行なった。
またISFに関しては下流の遺伝子発現変化をcDNAマイクロアレイを利用して調べた。mKirreに関してはノックアウトマウスの樹立、リガンドの同定を試みた。
結果と考察
ISFはプロトンポンプのサブユニットであり、その造血支持能にはポンプ活性が必須であった。興味深いことにISFは細胞膜上ではなくER膜上に主に発現していた。ISFの発現は多くの細胞に普遍的に認められ、生理的な条件下で造血にどれだけ関与しているかは現時点では不明である。ISFを過剰発現した場合のストローマ細胞における遺伝子発現変化をDNAチップで調べ、ISFによる造血幹細胞の増幅の少なくとも一部はSFRP-1およびTIMP3の発現抑制によることを見いだした。
一方、mKirreの発現は胎生期では造血幹細胞の発生の地であるAGM(Aorta-Gonado-Methonephros)領域、成体では骨髄中の骨膜に近接した骨芽細胞(つまり造血ニッチと考えられている部位)に発現していることが明らかにした。mKirreのノックアウトマウス作成およびリガンド同定は現在までのところ成功していない。
結論
プロトンポンプのサブユニットであるISFはユビキタスに発現されている分子であり、生理的な条件下における造血への関与は不明である。ストローマ細胞に過剰発現した場合の造血支持能の亢進はISF過剰発現によるストローマ細胞の遺伝子変化によることと考えられる。一方のmKirreは生体内においても造血に深く関与していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-