骨髄成体幹細胞を用いた形質転換心筋細胞の開発

文献情報

文献番号
200400085A
報告書区分
総括
研究課題名
骨髄成体幹細胞を用いた形質転換心筋細胞の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
福田 恵一(慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤潔(東海大学血液内科)
  • 中谷武嗣(国立循環器病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1)骨髄移植モデルを用いたin vivoで心筋分化能を有する幹細胞の同定:骨髄細胞中の心筋細胞に分化可能な心筋細胞を明らかにするため、GFP強発現マウスの造血幹細胞および間葉系幹細胞を分離して骨髄移植を行い、心筋梗塞の際に心筋細胞に分化可能な細胞を同定する。
(2)胚性幹細胞から心筋分化誘導因子の同定:骨髄間葉系幹細胞、胚性幹細胞から心筋細胞を特異的に分化誘導する因子の単離を試みた。
研究方法
(1)GFPトランスジェニックマウスより全骨髄(造血幹細胞+間葉系幹細胞)あるいは単一造血幹細胞のみを選択し、別のマウスに骨髄移植をい、2ヶ月後に心筋梗塞を作成した。さらに作成2ヶ月後に共焦点レーザー顕微鏡を用いてGFP陽性の心筋細胞を観察した。(2)分化誘導因子の単離とその心筋分化能の増強効果を解析した。早期胚における発現部位、発現時期を観察した。この因子で刺激をした際の細胞がcell autonomousに心筋細胞に分化するのか、non autonomousに分化するのかを明らかにするため、GFPで標識した胚性幹細胞をこの因子で刺激したものと標識していない非刺激胚性幹細胞を混在させ、心筋分化誘導を試みた。
結果と考察
(1)造血幹細胞単独の移植群ではGFP陽性の心筋細胞は観察されなかった。造血幹細胞+間葉系幹細胞の移植群ではGFP陽性の心筋細胞が観察され、心筋分化能を有するのは間葉系幹細胞であることが示された。骨髄幹細胞のうち、多能性を示すのは造血幹細胞であるのか、間葉系幹細胞であることが明らかとなった。本研究ではこれに答えを出したものである。心筋梗塞巣を観察するとGFP陽性の心筋細胞は間葉系幹細胞移植にのみ観察され、造血幹細胞移植群では心筋梗塞部位の線維芽細胞のみがGFP陽性であった。
(2)Nogginは胚性幹細胞に対し、強い心筋分化能を有した。Nogginはcardiac crescent形成時期に同部位の内胚葉側および近傍の中胚葉より分泌されており、linear heart tube期には発現していないことが明らかとなった。Nogginの胚性幹細胞への作用はcell autonomousに働き、GFPで標識した細胞だけが心筋細胞に分化することが確認された。Nogginは胚性幹細胞を神経細胞に分化誘導する因子として知られているが、あたらに心筋分化誘導因子であることも明らかとなった。
結論
(1)心筋細胞に分化可能な細胞は間葉系幹細胞であり、造血幹細胞には心筋分化能は認められなかった。
(2)胚性幹細胞を心筋細胞に分化誘導する因子としてNogginを同定した。

公開日・更新日

公開日
2005-06-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200400085B
報告書区分
総合
研究課題名
骨髄成体幹細胞を用いた形質転換心筋細胞の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
福田 恵一(慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 潔(東海大学血液内科)
  • 中谷 武嗣(国立循環器病センター臓器移植部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
(1) 骨髄移植モデルを用いたin vivoで心筋分化能を有する幹細胞の同定:骨髄細胞中の心筋細胞に分化可能な心筋細胞を明らかにするため、GFP強発現マウスの造血幹細胞および間葉系幹細胞を分離して骨髄移植を行い、心筋梗塞の際に心筋細胞に分化可能な細胞を同定する。(2)胚性幹細胞から心筋分化誘導因子の同定:骨髄間葉系幹細胞、胚性幹細胞から心筋細胞を特異的に分化誘導する因子の単離を試みた。
研究方法
(1)GFPトランスジェニックマウスより全骨髄(造血幹細胞+間葉系幹細胞)あるいは単一造血幹細胞のみを選択し、別のマウスに骨髄移植をい、2ヶ月後に心筋梗塞を作成した。さらに作成2ヶ月後に共焦点レーザー顕微鏡を用いてGFP陽性の心筋細胞を観察した。(2)分化誘導因子の単離とその心筋分化能の増強効果を解析した。早期胚における発現部位、発現時期を観察した。この因子で刺激をした際の細胞がcell autonomousに心筋細胞に分化するのか、non autonomousに分化するのかを明らかにするため、GFPで標識した胚性幹細胞をこの因子で刺激したものと標識していない非刺激胚性幹細胞を混在させ、心筋分化誘導を試みた。
結果と考察
(1)造血幹細胞単独の移植群ではGFP陽性の心筋細胞は観察されなかった。造血幹細胞+間葉系幹細胞の移植群ではGFP陽性の心筋細胞が観察され、心筋分化能を有するのは間葉系幹細胞であることが推測された。骨髄幹細胞のうち、多能性を示すのは造血幹細胞であるのか、間葉系幹細胞であるのかという問題は近年の再生医学のトピックの一つであった。本研究ではこれに答えを出したものである。心筋梗塞巣を観察するとGFP陽性の心筋細胞は間葉系幹細胞移植にのみ観察され、造血幹細胞移植群では心筋梗塞部位の線維芽細胞のみがGFP陽性であった。(2)Nogginは胚性幹細胞に対し、強い心筋分化能を有した。Nogginはcardiac crescent形成時期に同部位の内胚葉側および近傍の中胚葉より分泌されており、linear heart tube期には発現していないことが明らかとなった。Nogginの胚性幹細胞への作用はcell autonomousに働き、GFPで標識した細胞だけが心筋細胞に分化することが確認された。Nogginは胚性幹細胞を神経細胞に分化誘導する因子として知られているが、あたらに心筋分化誘導因子であることも明らかとなった。

結論
(1)心筋細胞に分化可能な細胞は間葉系幹細胞であり、造血幹細胞には心筋分化能は認められなかった。(2)胚性幹細胞を心筋細胞に分化誘導する因子としてNogginを同定した

公開日・更新日

公開日
2005-06-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-