骨髄細胞を用いた形質転換心筋細胞の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400084A
報告書区分
総括
研究課題名
骨髄細胞を用いた形質転換心筋細胞の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小室 一成(千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学)
研究分担者(所属機関)
  • 梅澤 明弘(国立成育医療センター生殖医療研究部生殖病理学)
  • 藤本 純一郎(国立成育医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究において、(1)ヒト骨髄間葉系幹細胞をin vitroで心筋細胞へ形質転換させる方法の開発とそれを誘導する分子の単離、(2)in vivoで骨髄細胞が心臓へ遊走し、心筋細胞へ形質転換する分子機序の解明、(3)ヒト骨髄間葉系幹細胞をモデルとした完全ヒト型培養システムの開発と幹細胞の規格化の3点を目的とした。
研究方法
1)心筋誘導因子の解明 DNA chipによるOP9細胞の発現遺伝子解析から培養上清中に存在する心筋細胞分化誘導因子の同定を試みた。2) 骨髄細胞の心筋細胞へ形質転換する分子機序の解明 G-CSFは心筋梗塞後のリモデリングを抑制するが、骨髄細胞から心筋細胞に形質転換する細胞数の増加はなかった。G-CSFによる梗塞後リモデリング改善の分子機序を解析した。3)ヒト間葉系細胞の寿命延長と心筋分化誘導 TERT、E6、E7、およびBmi-1遺伝子を導入して寿命を延長したヒト子宮内膜間葉系幹細胞を用い、マウス胎児心筋細胞との共培養により心筋細胞への分化能を評価した。4)完全ヒト型幹細胞培養法の確立 寿命を延長したヒト間葉系幹細胞を用い、培地組成、増殖因子、細胞増殖動態などについて有効な成分・濃度を検討し、至適化を行った。
結果と考察
寿命を延長した子宮内膜由来細胞は、胎児心筋細胞との共培養により心筋細胞に分化した。子宮内膜由来細胞は月経血より採取でき、細胞取得が骨髄よりも簡便である。今後、遺伝子導入によらない間葉系幹細胞の寿命延長法を検討する。ヒト骨髄間葉系細胞株を用いて1%血清を含む完全ヒト幹細胞培地の開発に成功した。本培地は血清成分が少なく、自家血清を利用した安全なヒト用培地の開発に有用である。OP9細胞のDNA chip解析の結果から、P19CL6細胞を高率に心筋細胞に分化させる因子のひとつを同定した。心筋誘導因子が同定されれば、心筋細胞への分化の分子機序の解明は大きく前進する。G-CSF投与による心機能改善、アポトーシス抑制はG-CSFを介するJAK-Statシグナルが関与していることを明らかにした。
結論
ストローマ細胞は心筋分化誘導因子を発現していた。また、寿命延長したヒト子宮内膜間葉系細胞は心筋細胞に分化することが明らかになった。G-CSF投与による心機能改善、アポトーシス抑制の分子機序を明らかにした。ヒト間葉系幹細胞に対して優れた増殖性を示す低血清ヒト型合成培地を確立した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200400084B
報告書区分
総合
研究課題名
骨髄細胞を用いた形質転換心筋細胞の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小室 一成(千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学)
研究分担者(所属機関)
  • 梅澤 明弘(国立成育医療センター生殖医療研究部生殖病理学)
  • 藤本 純一郎(国立成育医療センター研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究において、(1)ヒト骨髄間葉系幹細胞をin vitroで心筋細胞へ形質転換させる方法の開発とそれを誘導する分子の単離、(2)in vivoで骨髄細胞が心臓へ遊走し、心筋細胞へ形質転換する分子機序の解明、(3)ヒト骨髄間葉系幹細胞をモデルとした完全ヒト型培養システムの開発と幹細胞の規格化の3点を目的とした。
研究方法
1)心筋誘導因子の解明 OP9細胞の培養上清中に存在する心筋細胞分化誘導因子を発現クローニングまたはDNA Chipにより同定を試みた。2) 骨髄細胞の心筋細胞へ形質転換する分子機序の解明 G-CSFは心筋梗塞後のリモデリングを抑制するが、骨髄細胞から心筋細胞に形質転換する細胞数の増加はなかった。G-CSFによる梗塞後リモデリング改善の分子機序を解析した。3)ヒト間葉系細胞の寿命延長と心筋分化誘導 TERT、E6、E7、およびBmi-1遺伝子を導入して寿命を延長したヒト間葉系幹細胞の心筋分化能を、マウス胎児心筋細胞との共培養、免疫不全マウス心筋への移植により評価した。4)完全ヒト型幹細胞培養法の確立ヒト間葉系幹細胞を用い、培地組成、増殖因子、細胞増殖動態などについて有効な成分・濃度を検討し、至適化を行った。
結果と考察
ヒト間葉系細胞は、胎児心筋細胞との共培養およびマウス心臓に移植することにより心筋細胞に分化した。今後、遺伝子導入によらない間葉系幹細胞の寿命延長法を検討する。ヒト骨髄間葉系細胞株を用いて1%血清を含む完全ヒト幹細胞培地の開発に成功した。本培地は血清成分が少なく、自家血清を利用した安全なヒト用培地の開発に有用である。OP9細胞のDNA chip解析の結果から、P19CL6細胞を高率に心筋細胞に分化させる因子のひとつを同定した。心筋誘導因子が同定されれば、心筋細胞への分化の分子機序の解明は大きく前進する。G-CSF投与による心機能改善、アポトーシス抑制はG-CSFを介するJAK-Statシグナルが関与していることを明らかにした。
結論
ストローマ細胞は心筋分化誘導因子を発現していた。また、寿命延長したヒト骨髄および子宮内膜間葉系細胞は心筋細胞に分化することがin vitro、in vivoの実験から明らかになった。G-CSF投与による心機能改善、アポトーシス抑制の分子機序を明らかにした。ヒト間葉系幹細胞に対して優れた増殖性を示す低血清ヒト型合成培地を確立した。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-