組織工学、再生医療技術を応用した凍結保存同種あるいは異種弁移植の質の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200400082A
報告書区分
総括
研究課題名
組織工学、再生医療技術を応用した凍結保存同種あるいは異種弁移植の質の向上に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
北村 惣一郎(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中谷 武嗣(国立循環器病センター 臓器移植部)
  • 岸田 晶夫(国立循環器病センター 生体工学部)
  • 庭屋 和夫(国立循環器病センター 心臓血管外科)
  • 藤里 俊哉(国立循環器病センター 再生医療部)
  • 吉田 光敏(鹿児島大学 農学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
39,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
凍結保存した同種弁及び安全な医用ミニブタより採取した異種弁組織から、細胞を除去した生体由来スキャフォールドを作製する。さらに、in vitroで患者の自己細胞をあらかじめ組み込んでおき、それを患者に移植することによって、小児患者への適用をも可能とする再生型心臓弁移植システムを開発する。このため、本年度は、1)安全な医用ミニブタの育種、2)異種弁組織からドナー由来細胞を除去した生体組織スキャフォールドの作成、3)患者自己細胞の有効な組み込み、及び4)動物実験による有効性について検討した。
研究方法
脱細胞化処理:クラウン系ミニブタから清潔下にて心臓弁及び心筋を採取した。冷間等方圧加圧装置を用いた低温下超高圧印加処理によってドナー細胞を破壊し、マイクロ波照射下にて残渣を除去した。
同種移植実験:クラウン系ミニブタを用い、肺動脈弁置換術あるいは下行大動脈置換術にて、脱細胞化同種大動脈弁導管による大動脈置換手術を行った。所定期間経過後、移植組織を摘出し、組織学的所見を検討した。
細胞播種:脱細胞化処理した大動脈内組織に、繊維状素材を用いた細胞送達を行った。現在、特許出願準備中のため、詳細は省略する。
結果と考察
肺動脈弁及び大動脈弁組織とも移植導管部の破裂等は認められなかった。肺動脈弁では、移植3及び6ヶ月後での超音波観察で、弁の機能不全も認められなかった。摘出した組織の内腔は完全に内皮化しており、組織内への平滑筋細胞や線維芽細胞の浸潤も顕著であった。また、組織内では石灰化も全く認めなれなかった。これに対し、大動脈弁では、移植1ヶ月後においては、弁葉内には石灰化は認めなかったものの、導管部には石灰化が点状に認められた。また、3ヶ月後では、弁葉は縮退しており、導管部の石灰化も顕著であった。これらの結果から、同じ脱細胞化処理したものでも、肺動脈弁と肺動脈弁とでは移植後の結果が異なっており、組織の厚みによるものではないかと推測された。細胞播種については、新規な細胞送達方法によって、組織内に細胞を組み込むことが可能となった。肺動脈弁の結果は極めて良好であるため、今後数年以内の臨床応用を図りたい。
結論
超高静水圧印加及びマイクロ波照射処理により、ミニブタ心臓弁組織から力学特性を有効に維持したままドナー由来細胞を除去することができた。さらに、細胞除去組織スキャフォールドに患者細胞を均一に播種することができた。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200400082B
報告書区分
総合
研究課題名
組織工学、再生医療技術を応用した凍結保存同種あるいは異種弁移植の質の向上に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
北村 惣一郎(国立循環器病センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中谷 武嗣(国立循環器病センター 臓器移植部)
  • 岸田 晶夫(東京医科歯科大学 生体材料工学研究センター)
  • 庭屋 和夫(国立循環器病センター 心臓血管外科)
  • 藤里 俊哉(国立循環器病センター 再生医療部)
  • 吉田 光敏(鹿児島大学 農学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【再生医療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
凍結保存した同種弁及び安全な医用ミニブタより採取した異種弁組織から、細胞を除去した生体由来スキャフォールドを作製する。さらに、患者の自己細胞をあらかじめ組み込んでおき、それを患者に移植することによって、小児患者への適用をも可能とする再生型心臓弁移植システムを開発する。このため、1)安全な医用ミニブタの育種、2)異種弁組織からドナー由来細胞の除去、3)患者自己細胞の有効な組み込み、及び4)動物実験による有効性について検討した。
研究方法
脱細胞化処理:クラウン系ミニブタから心臓弁及び心筋を採取した。冷間等方圧加圧装置を用いた低温下超高圧印加処理によってドナー細胞を破壊し、マイクロ波照射下にて残渣を除去した。
同種移植実験:クラウン系ミニブタを用い、肺動脈弁置換術、あるいは大動脈弁導管による下行大動脈置換手術を行った。所定期間経過後、移植組織を摘出し、組織学的所見を検討した。
細胞播種:脱細胞化処理した大動脈内組織に、汎用ディスペンサ装置並びに繊維状素材を用いた細胞組込を行った。
採取動物の安全性:クラウン系ミニブタより血清を分離し、オーエスキー病等の感染状況を検査した。
結果と考察
肺動脈弁及び大動脈弁組織とも移植導管部の破裂等は認められなかった。肺動脈弁では、移植6ヶ月後での超音波観察で、弁の機能不全も認められなかった。摘出した組織の内腔は完全に内皮化しており、組織内への平滑筋細胞や線維芽細胞の浸潤も顕著であった。また、組織内では石灰化も全く認めなれなかった。これに対し、大動脈弁では、移植1ヶ月後においては、弁葉内には石灰化は認めなかったものの、導管部には石灰化が点状に認められた。また、3ヶ月後では、弁葉は縮退しており、導管部の石灰化も顕著であった。これらの結果から、同じ脱細胞化処理したものでも、肺動脈弁と肺動脈弁とでは移植後の結果が異なっており、組織の厚みによるものではないかと推測された。細胞播種については、新規な細胞送達方法によって、組織内に細胞を組み込むことができた。また、ウイルス性感染症は全ての検査個体で陰性であった。しかし、細菌性およびマイコプラズマ性感染症の陽性率は高かった。
結論
ミニブタ心臓弁組織から力学特性を有効に維持したままドナー由来細胞を除去することができた。さらに、その組織内に細胞を均一に播種することができた。肺動脈弁の結果は極めて良好であるため、今後数年以内の臨床応用を図りたい。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-