バキュロウイルスを利用した新規遺伝子治療ベクターの開発

文献情報

文献番号
200400055A
報告書区分
総括
研究課題名
バキュロウイルスを利用した新規遺伝子治療ベクターの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 善治(大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森石 恆司(大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター)
  • 武田 直和(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまで昆虫にしか感染しないと考えられていたバキュロウイルスが広範な哺乳動物細胞にも感染し、複製することなく、外来遺伝子を効率よく発現できる成果を基に、バキュロウイルスの特性を利用した新しい遺伝子治療ベクターの開発を目的とする。
研究方法
1) バキュロウイルスのエンベロープ蛋白質gp64の代わりに任意の蛋白質を提示できる系を構築し、狙った細胞だけに遺伝子を導入できるターゲッティングベクターの開発を試みた。
2) バキュロウイルスによる自然免疫誘導活性を解析した。
3) E型肝炎ウイルス(HEV)の構造蛋白質を発現するバキュロウイルスを用いて、ウイルス様中空粒子(VLP)を作製し、カニクイザルを用いてその免疫原性を検討した。
結果と考察
1) バキュロウイルスのエンベロープ蛋白質の代わりに、VSVGや麻疹ウイルスの受容体を搭載したシュードタイプウイルスはリガンド特異的に標的細胞に遺伝子を導入することができた。
2) バキュロウイルスを前日に鼻腔内投与したマウスは、インフルエンザウイルスの致死量攻撃から防御され、この自然免疫の誘導はウイルスゲノムがToll-like receptor 9(TLR9)を介してシグナルを核に伝達していることを明らかにした。
3) カニクイザルにHEVのVLPを経口投与したところ、血清中にIgG抗体の上昇が誘導され、VLP経口投与群では感染防御が認められた。
結論
1) gp64を完全に置換できるターゲッティングベクター系を開発した。
2) バキュロウイルスゲノムがTLR9を介して自然免疫を強力に誘導する。
3) HEVのVLPを経口投与することによって中和抗体を誘導できる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-

文献情報

文献番号
200400055B
報告書区分
総合
研究課題名
バキュロウイルスを利用した新規遺伝子治療ベクターの開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 善治(大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森石 恆司(大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター)
  • 武田 直和(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまで昆虫にしか感染しないと考えられていたバキュロウイルスが広範な哺乳動物細胞にも感染し、複製することなく、外来遺伝子を効率よく発現できる成果を基に、バキュロウイルスの特性を利用した新しい遺伝子治療ベクターの開発を目的とする。
研究方法
1) 各種ウイルスのエンベロープ蛋白質を粒子表面に取り込んで、遺伝子導入効率と補体抵抗性の向上を検討した。
2) バキュロウイルスのエンベロープ蛋白質gp64の代わりに任意の蛋白質を提示できる系を構築し、狙った細胞だけに遺伝子を導入できるターゲッティングベクターの開発を試みた。
3) バキュロウイルスによる自然免疫誘導活性を解析した。
4) E型肝炎ウイルス(HEV)の構造蛋白質を発現するバキュロウイルスを用いて、ウイルス様中空粒子(VLP)を作製し、カニクイザルを用いてその免疫原性を検討した。
結果と考察
1) 水疱性口内炎ウイルスのエンベロープ蛋白質(VSVG)を被った組換えバキュロウイルスは血清成分に対して抵抗性を示し、また、マウスの脳組織や精巣のセルトリ細胞で導入遺伝子の発現を認めた。
2) バキュロウイルスのエンベロープ蛋白質の代わりに、VSVGや麻疹ウイルスの受容体を搭載したシュードタイプウイルスはリガンド特異的に標的細胞に遺伝子を導入することができた。
3) バキュロウイルスを前日に鼻腔内投与したマウスは、インフルエンザウイルスの致死量攻撃から防御され、この自然免疫の誘導はウイルスゲノムがToll-like receptor 9(TLR9)を介してシグナルを核に伝達していることを明らかにした。
4) カニクイザルにHEVのVLPを経口投与したところ、血清中にIgG抗体の上昇が誘導され、VLP経口投与群では感染防御が認められた。
結論
1) バキュロウイルス粒子表面を操作することにより、遺伝子導入効率と補体抵抗性を飛躍的に向上できる。
2) gp64を完全に置換できるターゲッティングベクター系を開発した。
3) バキュロウイルスゲノムがTLR9を介して自然免疫を強力に誘導する。
4) HEVのVLPを経口投与することによって中和抗体を誘導できる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-