サル完全長cDNAの配列決定とヒト遺伝子との比較解析および配列情報に基づくcDNAアレイ作製と応用に関する研究

文献情報

文献番号
200400052A
報告書区分
総括
研究課題名
サル完全長cDNAの配列決定とヒト遺伝子との比較解析および配列情報に基づくcDNAアレイ作製と応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 雄之(国立感染症研究所 遺伝子資源室)
研究分担者(所属機関)
  • 楠田 潤(国立感染症研究所 遺伝子資源室)
  • 平井 百樹(東京女子医科大学循環器内科)
  • 菅野 純夫(東京大学大学院新領域創成研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
80,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
カニクイザルcDNAを分離し、ヒト参照遺伝子に相当するものを検索し、その全長塩基配列を決定してヒトとの比較解析を行う。2)カニクイザルcDNAの配列情報に基づき、オリゴチップ作製を試みる。
研究方法
1)カニクイザルcDNAを分離し、ヒト参照遺伝子に相当するものについて、全長塩基配列を決定する。ヒトとの配列比較を行い、遺伝子進化の異同を解析し、種の独自性との関連を追究する。2)上記の配列比較に適当なチンパンジーcDNAを加えることにより、種間での配列保存度を比較、種特異的進化を示す遺伝子の探索を行う。3)上記の配列情報をもとに、オリゴヌクレオチドを設計し、オリゴチップを試作する
結果と考察
脳由来約5,000、精巣由来約2,200の全長配列のヒトとの配列比較解析を行った。1)脳で発現している遺伝子約2,000の塩基置換率をみると脳では遺伝子の進化速度が遅くなっていることが示唆された。2)ヒト相同遺伝子をもつカニクイザルcDNAについて、その5'UTRを比較すると変化型5'UTRが精巣cDNAでは27%の割合で存在した。 3)1300個のヒト疾患関連遺伝子に相同の309個のカニクイザル遺伝子cDNAのなかで、ヒトで病因となる置換がカニクイザル遺伝子の正常配列となる例が9遺伝子に認められた。4)約210のチンパンジー全長cDNA配列について、ヒトとの配列比較挿入・欠失(indel)に着目して解析した結果、ヒトとチンパンジー間で42%の遺伝子にindelが存在し、それらを合わせると、配列の違いは塩基置換のみの値に対して全体に約2割増しの結果となった。5)チンパンジーでは約400の、カニクイザルでは約300の遺伝子について、転写開始部位についてマップすることができた。 上記カニクイザルcDNA配列情報をもとに、オリゴヌクレオチドを設計し、約2,000の遺伝子についてオリゴチップ作製を試みた。
結論
カニクイザル脳約5,000、精巣約2,200のcDNA全長配列を決定し、比較解析を行った。
ヒトでは病因となるアミノ酸置換がカニクイザル遺伝子の正常配列となる例を示した。チンパンジー全長cDNAについて、挿入・欠失(indel)に着目して解析し、ヒトとチンパンジー間で48%の遺伝子にindelが存在し、それらを合わせると配列の違いは塩基置換のみの値に対して全体に約2割増しとなることを示した。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-