医科学研究用リソースとしてのカニクイザルの基盤高度化に関する研究

文献情報

文献番号
200400050A
報告書区分
総括
研究課題名
医科学研究用リソースとしてのカニクイザルの基盤高度化に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
寺尾 恵治(国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 高志(国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター)
  • 山海 直(国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター)
  • 小倉 淳郎(理化学研究所・バイオリソースセンター)
  • 向井鐐三郎(国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター)
  • 明里 宏文(国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センター)
  • 藤本 浩二(社団法人予防衛生協会)
  • 吉川 泰弘(東京大学大学院農学生命科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
62,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
21世紀の重要な厚生労働科学研究として、脳・神経科学、長寿科学、感染症制圧、遺伝子治療、再生医療、ゲノム創薬などが注目されているが、これら新規医療技術の臨床応用に資する医科学研究用霊長類リソースを、個体レベル、細胞レベル、遺伝子レベルのそれぞれの階層で総合的に整備することを目的とする。
研究方法
人工保育された仔ザルで構成したSPFパイロットコロニーについて、7種のウイルスに対する抗体を調査した。SRV/D抗体陽性ザルの血液、唾液、尿、糞からのSRV/Dウイルス遺伝子の検出を試みた。
異なったサル種のT細胞株の樹立を継続し細胞株ライブラリーの充実を図った。発生工学的技術を用いて精子、未受精卵、受精卵等の生殖機能細胞の保存を試みた。
繁殖育成コロニーを構成する個体の核DNAの保存を継続した。BACライブラリーのスクリーニングキットを作成した。カニクイザルで増幅、多型性、遺伝性が確認されるマーカーの整備を行った。
Aging Farmで維持している老齢ザル全頭についてMRI画像診断を実施し、高次脳機能調査を終了している老齢個体、パーキンソン病発症個体について、MRI解析で得られた脳の構造との関連を解析した。
結果と考察
100頭規模のSPFパイロットコロニーを確立した。排除対象ウイルスであるサルレトロウイルス(SRV/D)抗体用ザルの約40%で血液あるいは唾液からウイルス遺伝子が検出され、体液による感染拡大が推測された。
細胞レベルでの遺伝子保存を目的として、HSVを用いてカニクイザル、アカゲザル、チンパンジー、タマリン由来のT細胞株を樹立した。
遺伝子レベルでのリソース整備では、核DNAライブラリー、BACライブラリーを整備するとともに、遺伝疾患解析用ツールとして多型性を示すマイクロサテライトを50セット確立した。
自然発生疾患モデルとして循環器疾患、脳神経疾患、骨粗鬆症をとりあげ、磁気共鳴画像(MRI)検査、超音波検査、X線検査を中心としてサル類の画像データベース構築を進めている。
結論
医科学研究用のサル類の基盤的、戦略的リソースを個体レベルから遺伝子レベルまで総合的に整備、維持、供給するシステムの構築を継続し、基盤的リソースに関しては所期の目的に到達しつつある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-27
更新日
-