高病原性トリインフルエンザウイルス対策の調査研究

文献情報

文献番号
200400039A
報告書区分
総括
研究課題名
高病原性トリインフルエンザウイルス対策の調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 清州(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 章雄(国立感染症研究所獣医科学部)
  • 小林 睦生(国立感染症研究所昆虫医科学部)
  • 田代 眞人(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 小田切 孝人(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 佐藤 征也((株)デンカ生研ウイルス学)
  • 水野 喬介((財)化学及び血清療法研究所ウイルス学)
  • 東 雍(阪大微生物病研究会予防医学・ウイルス学)
  • 駒瀬 勝啓((社)北里研究所ウイルス学)
  • 小渕 正次(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 今井 正樹(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 板村 繁之(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 西藤 岳彦(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 二宮 愛(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 篠原 克明(国立感染症研究所バイオセーフティ管理室)
  • 大日 康史(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 重松 美加(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • ポール 橘谷(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 中島 一敏(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 田中 政宏(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 上野 正裕(国立感染症研究所感染症情報センター)
  • 工藤 宏一郎(国立国際医療センター国際疾病センター)
  • 川名 明彦(国立国際医療センター国際疾病センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
125,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高病原性トリインフルエンザ(HPAI)のヒトでの感染が蔓延することを防止するために、1)ヒトにおける感染の臨床・疫学状況について最新の情報を収集することにより、本邦における対策に反映させること、2)ネコおよびクロバエの感染伝播への関与を検討することによって伝播ルートの解明につなげること、そして3)新型インフルエンザ対策のために、効果的なワクチンの開発のための基礎的検討を行い、実用化にむけての品質管理を検討することを目的とする。
研究方法
疫学的な面では、発生国を訪問し、現地調査を行い、これまでのHPAIの知見を整理し、今後の連携体制について議論を行った。診断面では、発生国と協力して患者からの検体を収集し遺伝子診断法の改良を行い、発生国において技術支援を行った。またイエネコとクロバエ類の調査から、これらの感染伝播における役割を検討した。そして今後の新型インフルエンザウイルス出現に備えて、ワクチンの品質管理基準を検討して、試験製造を行った。
結果と考察
ベトナムにおけるHPAIの状況について多くの情報を得ることができ、今後のHPAI対策に活かしていくことが期待される。診断面では、H5遺伝子検出診断の感度改善策としてRT-PCR法の改良と、H5-LAMP法を開発し、2004年末の実用化に成功した。本研究成果は今後のH5ウイルスの感染診断に貢献できると思われる。イエネコの血清24検体では、HI試験で明らかな陽性を示すものはなかったが、ネコ血清におけるHI試験のための条件検討が必要と考えられた。クロバエ類がHPAIウイルスを保持していたことが判明したが、これらの結果だけでは、クロバエ類のHPAIの伝播における役割は明確ではなく、今後更に検討をする必要がある。新型インフルエンザの出現に備えてモックアップワクチン用原液(アルミアジュバント添加不活化全粒子ワクチン)を製造し、非臨床試験を行った。今後、製剤化の検討を行い、ワクチンの有効性、安全性、安定性等を基礎試験、非臨床試験、臨床試験を通して検証してゆく必要がある。
結論
ヒトにおけるHPAI感染に対して十分な準備を行うとともに、来るべきパンデミックに対する備えも怠りなく進める必要がある。(1)継続的にHPAIに関する情報を収集し、発生国との連携により、技術的な支援と研究協力を行っていくこと。(2)イエネコやクロバエ類の調査は感染の伝播を考える上で重要な課題であり、今後更なる研究を行っていくこと。(3)新型インフルエンザウイルス出現に備えて、アルミアジュバント添加不活化全粒子ワクチンの試験製造を行ったが、今後これらの実用化に向けて、更なる検討を行っていくこと。

公開日・更新日

公開日
2005-05-10
更新日
-