終末期における望ましい医療の内容に関するガイドラインの策定に関する研究

文献情報

文献番号
200400019A
報告書区分
総括
研究課題名
終末期における望ましい医療の内容に関するガイドラインの策定に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
林 謙治(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療技術の進歩により、終末期医療においても延命治療が可能となる一方、患者本人の意志の反映、家族の意向への対応等、医療現場における対応のあり方について難しい問題が提起されている。今後は患者自身がQOLを重視した望ましい終末期医療を選択できるような体制作りが必要と考えられる。
研究方法
終末期の定義とガイドライン対象疾患:終末期医療の定義については多くの見解があり、がん、神経難病、エイズなど不治の疾病のみならず、植物状態や高齢者、障害者等福祉ケアの対象者を含む考えがある。本研究では、現在国内死因のトップとなり、緩和ケア体制・知識普及においてモデル疾患と期待される末期がん患者への医療提供者側の対応を中心に検討を行った。
結果と考察
ガイドラインの検討:終末期医療に関する諸外国の動向を調査する中で、延命治療については、その差し控えと中止について議論を進める以前、もしくは平行して、患者の権利、インフォームドコンセント、真実告知、本人の意志決定と確認、緩和ケア等についての議論やガイドライン化、法制化がなされているという実態が明らかになった。
本ガイドラインの主眼は、提供者側と受益者側がいかにより良いコミュニケーションを図るかにあり、結果として誤解やトラブルをなくすことが期待される。
検討課題が広範にわたるため、現時点で正式なガイドライン報告に至っていないが、当案は現場で試行され改善される必要があり、コンセンサスを得られた後も定期的に見直されるべきである。
結論
終末期医療には医学領域のみならず、社会・文化・倫理的要素を考慮する必要性があり、インフォームドコンセントのあり方や、本人・家族の意志決定の尊重、身体的・精神的ケアを含めた包括的なQOL向上を目的とした終末期医療ガイドラインが必要と考えられた。現状では、延命中止治療に関する限り司法判断を超える医療行為を医療従事者に求めることは困難であると考える。従って、延命中止治療について社会的合意が得られるのは自然死を見守る姿勢であり、患者及び家族・介護者の意志を尊重し、チーム医療体制を整備して方針を決めることが望まれる。
今後がん以外の終末期医療、延命治療の差し控え・中止などに関するガイドラインの作成を進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-07-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-