植物由来催幻覚成分の薬物依存性および細胞毒性の評価

文献情報

文献番号
200400016A
報告書区分
総括
研究課題名
植物由来催幻覚成分の薬物依存性および細胞毒性の評価
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
舩田 正彦(国立精神・神経センター精神保健研究所薬物依存研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅沼 幹人(岡山大学大学院医歯学総合研究科神経情報学分野)
  • 安田 一郎(東京都健康安全センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
法的規制を掻い潜る“脱法ドラッグ”の乱用が社会問題になっている。本研究では、植物(ハルマラ種子)由来幻覚成分であるharmineもしくはharmalineの精神依存性および細胞毒性の発現を検討した。脱法ドラッグの乱用危険度と毒性評価の研究システム構築を試みた。また、植物由来催幻覚成分に関する鑑定・評価の基礎資料を提供する目的で、実際に販売されている植物(ハルマラ種子)に含有される催幻覚成分の精製単離およびその分析法の開発を試みた。
研究方法
研究1:マウスを使用し、conditioned place preference(CPP)法による精神依存性の評価を行った。研究2:ドパミン系培養神経細胞CATH.a細胞とセロトニン系培養神経細胞B65細胞を用いて、細胞毒性(LDH放出量測定)と形態学的変化を検討した。研究3:ハルマラ種子中の催幻覚成分を測定した。
結果と考察
Harmineの精神依存性:Harmine (1mg/kg)により報酬効果が発現した。細胞毒性の評価: Harmalineあるいはharmine単独暴露によりいずれの細胞においても、LDH放出量の著明な増加が認められた。また、セロトニン系培養神経細胞においては、harmalineおよびharmineとMDMAの併用暴露により、細胞毒性ならびにアポトーシスの発現が相乗的に増強された。成分定量:ハルマラ種子中の催幻覚成分を測定したところ、harmalineおよびharmineの含量は60~65mg/g 及び30~40mg/g であった。植物(ハルマラ)由来の催幻覚成分であるharmineもしくはharmalineは精神依存形成能を有することが明らかになった。また、これらの成分はセロトニン神経系に作用して、強力な細胞毒性を発現する危険性を有することが示された。さらに、実際に販売されている植物中にも催幻覚成分が含まれていることが確認され、植物系脱法ドラッグの危険性が確認された。
結論
CPP試験を行うことにより、効率良く化学物質の精神依存性を評価できると考えられる。薬物の神経毒性発現の有無については、培養細胞を利用する方法は、迅速かつ正確な評価が可能であり、その有用性が明確になった。植物中の幻覚成分を正確に定量することにより、植物系脱法ドラッグの流行状況を正確に捉えるとともに、流行予測などに利用できるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-26
更新日
-