データ・リンケージによる産業別生命表の作成とその応用に関する研究

文献情報

文献番号
200400164A
報告書区分
総括
研究課題名
データ・リンケージによる産業別生命表の作成とその応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
ソウケ島 茂(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報高度利用総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
3,920,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
データ・リンケージによって産業別生命表を作成して産業別の健康格差を定量化し,さらに,産業別生命表を産業連関分析にリンケージすることによって経済動向や政策的介入によって国民の健康指標がどのように変化しうるのかをシミュレーションする。
研究方法
平成7年人口動態職業・産業別統計と完全生命表を用いて産業別生命表を作成し産業別平均余命の計算を行った。産業別生命表と産業連関分析のリンケージ・モデルを用いて政策が政府支出の変化を仮介して国民の健康指標に及ぼすインパクトをシミュレーションした。
結果と考察
男女25歳時の産業別平均余命は就業者全体で53.57年,58.57年,第1次産業で51.10,57.89,第2次産業で54.20,58.97,第3次産業で54.25,58.99,無業者(完全失業者と非労働力人口の合計)で40.94,56.38だった。産業別平均余命は第3次産業で良好だった。無業者の平均余命の男女格差は女性非労働力人口にしめる健康な「主婦業」の割合が一因だろう。今後の産業別人口動態統計が無業者を細分し完全失業者と主婦業に相当する統計を作成するよう推奨する。政府支出を全産業(49部門)で一律50%削減して生じる約20兆円の予算を特定産業に重点投下した場合の国の平均余命と所得の組み合わせへの効果をシミュレーションした。第3次産業部門への重点化予算に伴う国の平均余命の増加が大きい場合が多いが悪化させる部門もあった。農業部門の生命表は良好ではないが意外に農業部門への予算を増加させると国の平均余命の改善が全産業部門中,男性1位(0.74年),女性2位(0.087年)で国内所得の増加もあった(28位,2122億円)。平均余命の改善は農業部門とその中間生産物部門の高い労働吸収力(労働投下係数)が原因だろう。生存率が低い傾向にある無職の人の割合を低くするからである。産業連関モデルで最終需要を満たすだけの生産の実現可能性がボトル・ネックになるので本研究のシミュレーション結果をそのまま現実に当てはめるには注意を要するが産業間の労働人口移動を考慮して生命表を評価しなければならない。
結論
産業別生命表を作成した結果,就業者割合が高くなる25歳時点の平均余命は第3次産業で良好であった。しかし,産業連関表と産業別生命表のリンケージ・モデルによれば政策を産業間資源配分として見る場合それぞれの政策の経済全体への波及効果を健康と関連づけて予測する必要性が示された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-19
更新日
-

文献情報

文献番号
200400164B
報告書区分
総合
研究課題名
データ・リンケージによる産業別生命表の作成とその応用に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
ソウケ島 茂(国立保健医療科学院公衆衛生政策部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 統計情報高度利用総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
データ・リンケージによって産業別生命表を作成して産業別の健康格差を定量化し,さらに,産業別生命表を産業連関分析にリンケージすることによって経済動向や政策的介入によって国民の健康指標がどのように変化しうるのかをシミュレーションする。
研究方法
平成7年人口動態職業・産業別統計と完全生命表を用いて産業別生命表を作成し産業別平均余命の計算を行った。産業別生命表と産業連関分析のリンケージ・モデルを用いて政策が政府支出の変化を仮介して国民の健康指標に及ぼすインパクトをシミュレーションした。
結果と考察
男女25歳時の産業別平均余命は就業者全体で53.57年,58.57年,第1次産業で51.10,57.89,第2次産業で54.20,58.97,第3次産業で54.25,58.99,無業者(完全失業者と非労働力人口の合計)で40.94,56.38だった。産業別平均余命は第3次産業で良好だった。無業者の平均余命の男女格差は女性非労働力人口にしめる健康な「主婦業」の割合が一因だろう。今後の産業別人口動態統計が無業者を細分し完全失業者と主婦業に相当する統計を作成するよう推奨する。政府支出を全産業(49部門)で一律50%削減して生じる約20兆円の予算を特定産業に重点投下した場合の国の平均余命と所得の組み合わせへの効果をシミュレーションした。第3次産業部門への重点化予算に伴う国の平均余命の増加が大きい場合が多いが悪化させる部門もあった。農業部門の生命表は良好ではないが意外に農業部門への予算を増加させると国の平均余命の改善が全産業部門中,男性1位(0.74年),女性2位(0.087年)で国内所得の増加もあった(28位,2122億円)。平均余命の改善は農業部門とその中間生産物部門の高い労働吸収力(労働投下係数)が原因だろう。生存率が低い傾向にある無職の人の割合を低くするからである。産業連関モデルで最終需要を満たすだけの生産の実現可能性がボトル・ネックになるので本研究のシミュレーション結果をそのまま現実に当てはめるには注意を要するが産業間の労働人口移動を考慮して生命表を評価しなければならない。
結論
産業別生命表を作成した結果,就業者割合が高くなる25歳時点の平均余命は第3次産業で良好であった。しかし,産業連関表と産業別生命表のリンケージ・モデルによれば政策を産業間資源配分として見る場合それぞれの政策の経済全体への波及効果を健康と関連づけて予測する必要性が示された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-19
更新日
-