「たばこ規制枠組条約」を前提とした我が国のたばこ政策の政策評価-特に、規制インパクト分析及びプログラム評価-に関する研究

文献情報

文献番号
200400159A
報告書区分
総括
研究課題名
「たばこ規制枠組条約」を前提とした我が国のたばこ政策の政策評価-特に、規制インパクト分析及びプログラム評価-に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
望月 友美子(国立保健医療科学院研究情報センター情報デザイン室)
研究分担者(所属機関)
  • 細野 助博(中央大学大学院総合政策研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2005年2月に発効した「世界保健機関たばこ規制枠組条約」を受け(締約国として様々な義務が発生する)、我が国で実施される、あるいは実施されるべき、たばこに関する様々な規制が社会経済にもたらす影響(インパクト)を多面的に予測・評価し、政策決定者と国民(ひいては利害関係者)に情報提供することにより、国民の健康と経済を守るためのたばこ政策の合理的な政策形成に資することを目的とする。
研究方法
2004年度は予備調査として、たばこ消費の時系列データ、社会経済関連指標データ、医療・禁煙関連指標データ、行政施策関連データの収集を行い、また、国内外の文献調査、国連関連機関の勧告・報告書の収集と分類、キーワード分析を行い、さらに、審議会資料等のコンテンツアナリシスにより、政策課題分析、利害関係者の見解を抽出した。また、消費量のたばこ増税の消費抑制効果の推定を行うために、我が国におけるたばこ需要の価格弾力性を推計した。
結果と考察
欧州連合(EU)のたばこ規制グループによる効果のある包括的たばこ規制の達成尺度を用いた評価では、我が国のたばこ規制状況はEU加盟国と比較して最下位となり、特に、価格政策、警告表示、広告規制が評価を下げていることが分かった。EU加盟国のうち英国のたばこ政策を調査し、世界第2位の多国籍たばこ企業を擁しながらも、歴史的に疫学を中心とする科学的証拠が重視され、ブレア政権後、特に価格政策を含む規制が進展した背景に、利害関係者との合意形成を科学的に進める規制インパクト評価手法が有効に利用されたことが明らかになった。需要の価格弾力性は0.052から0.262(95%信頼区間)であり、我が国においても価格政策の有効性と利害関係者の合意可能性を示唆する。
結論
たばこ政策は幅広い学際的な専門性に立った高次な政策判断が求められる一方で、利害関係者(特に、たばこ産業、時には財政当局)との調整が極めて難しい分野であるが、本研究で得られる実証的データにより、合意形成モデルの構築と、政策シミュレーションモデルの構築が図られる。効果のある包括的たばこ規制の国際水準に近づくためには、我が国でも価格政策をまず実現することが必要である。

公開日・更新日

公開日
2005-06-29
更新日
-