少子高齢社会の社会経済的格差に関する国際比較研究

文献情報

文献番号
200400151A
報告書区分
総括
研究課題名
少子高齢社会の社会経済的格差に関する国際比較研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
白波瀬 佐和子(筑波大学大学院システム情報工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 松浦 克己(広島大学社会科学研究科)
  • 玄田 有史(東京大学社会科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,119,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、少子高齢化に代表されるマクロな人口変動に着目して、量的な変化は質的な変化と直接的に連動するのかについて、格差・不平等の観点から検討することにある。人口変動のペースや程度は国によって異なるものの、少子高齢化は日本のみならず欧米に共通するマクロな変化である。そこで欧米との比較を通して、マクロな人口変動と格差・不平等のメカニズムの変化/無変化がどのような関係にあるのかを検討する。本年度は特に日本の状況に焦点を当て、意識、世帯、雇用、教育、健康、資産、年金といった社会経済的諸側面について議論した。
研究方法
 まず人口変動と格差・不平等の関係を理論的に位置付ける。社会経済的格差の各論では、テーマに沿ったミクロデータを計量的分析手法で議論する。年齢別の不平等観を国際比較データでみた研究では、1999年International Social Survey Program(ISSP)を用いた。その他、日本版General Social Survey(JGSS)や「家計と貯蓄に関する調査」などが分析され、「労働力調査」などの公開行政データも適宜利用する。
結果と考察
 日本は他国に比べて、年齢別の不平等観の違いが大きく、特に若年層の不平等観が高い。その背景には、年齢ごとに分断されたライフチャンスがあり、一旦主流に乗り遅れるとその後の巻き返しチャンスが少ないことがある。不安定な雇用状況は若年層を中心に襲う。ただ、若年層、中高年層と年代の違いにのみ格差の原因があるわけではない。2007年問題として注目される団塊世代の引退期突入についても、サイズとして大きい団塊世代を一塊としてだけではなく、その世代内の格差も見失うべきではない。
 少子高齢化は教育における格差を拡大していった。主観的な健康意識は学歴の差が大きく、意識そのものが階層性を内包する。親からの遺産相続、出産と子育て、そして公的年金制度、などは本人がコントロールできないところで格差を拡大させる。
結論
 本年度は日本の状況を中心に分析を進めた。少子高齢化は格差を伴って進行している。しかし、最近の二極分化論にみられるような、勝ち組みと負け組みといった見方は少々単純である。格差のメカニズムが何で、その格差の実態はどうなのか、次年度以降さらなる検討を進める。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-