多様な主体による世代間相互支援プログラムの構築と効果の検証

文献情報

文献番号
200400133A
報告書区分
総括
研究課題名
多様な主体による世代間相互支援プログラムの構築と効果の検証
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 浩(東北大学大学院経済学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 日野 秀逸(東北大学大学院経済学研究科)
  • 佐々木伯朗(東北大学大学院経済学研究科)
  • 藤井 敦史(東北大学大学院経済学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は、公的年金等の現行の社会保障制度が縮小的に改革された場合に、次世代支援、世代間相互支援のための社会保障プログラムを公共部門以外の多様な主体にどのようにシフトし、継続をするかを明らかにし、その政策提言を行い効果について定量的に検証するための調査を行うことである
研究方法
 社会保障、社会福祉の供給主体について、シフトの可能性のある新たな主体として、社会的企業、家計(個人)、受託事業者、協同組合を分析対象としてあげ、プログラムの提供の可能性を分析することとした。また、これまでの公的主体のあり方についても分析軸を設定し、社会保障プログラムの供給主体としての多様性に留意した。
結果と考察
(1)社会的企業による革新的な事業展開は、企業とのネットワークによるソーシャル・キャピタルで支えられており、英国社会的企業に対しては、多くの政府資金が流入している。
(2)非営利組織の説明についてEmergence of European Social Enterprisesグループは、Nonprofit-constraintだけでは、現在のThird Sectorの活動を説明するには不十分等の問題点が指摘されている。また、ドイツの介護保険、福祉サービス事業の実態調査においては、サービス事業者の国、州、市町村等の政府間関係が、日本よりも分権的である。
(3)医療生活協同組合は、地域の医療条件によって多様な形成過程を持ち、医療従事者、医療利用者双方が生協法を活用し、法人基盤上に実際的なメリットを追求した運動・組織・事業である。イギリスでは、1997年以来、医療サービスの購入と提供の機能の分離が計られ、医療サービス提供側は、Agent, Foundationとして組織され、協同組合化の方向には進んでいない。
(4)家計におけるウェルフェアの自己生産としてプレイ・ケア効果に関し、プレイ時間増加が悩み・ストレスに及ぼす効果を同時推定式により推定し、有意にマイナスの推計値が得られた。
結論
非公的部門は社会保障機能の一部を担うことができるが、公的部門の資金的支出や、制度的枠組みの整備など条件が必要である。このことは、非公的セクターは公的セクターを完全に「代替する」ものではなく、「並存」し、公的部門と非公的部門のベスト・ミックスを模索しながら高齢社会での世代間扶養プログラムを再構築して行く必要があること意味しているといえる。

公開日・更新日

公開日
2005-06-29
更新日
-