食事・栄養指導の実態と効果分析に関する研究

文献情報

文献番号
200400132A
報告書区分
総括
研究課題名
食事・栄養指導の実態と効果分析に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松田 朗(社団法人日本医業経営コンサルタント協会)
研究分担者(所属機関)
  • 森脇久隆(岐阜大学医学部・臓器病態学講座・消化器病態学分野)
  • 吉田勝美(聖マリアンナ医科大学・予防医学)
  • 小山秀夫(国立保健医療科学院)
  • 中村丁次(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科)
  • 川島由起子(聖マリアンナ医科大学病院栄養部)
  • 杉山みち子(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
病院における栄養食事指導体制の充実により、医療サービスの質の向上と効率化に大きく寄与することが国際的に認められている。この場合、入院早期の栄養のリスク軽減が必須であるが、わが国ではその効果分析が行われてこなかった。そこで、本研究は医療保障制度における栄養食事指導の実態調査から現状の問題を明確化した上で、科学的根拠に基づいた栄養食事指導体制が導入された場合の効果分析を行い、診療報酬における栄養食事指導の適正な評価について明らかにするものである。
研究方法
栄養ケア・マネジメント(以下NCM)調査に協力が得られた全国の公的病院連合加盟の122病院に入院した患者のうち、同意の得られた4,142名の入退院近時の栄養状態とNCM活動項目について、患者記録の転記等により実態調査を行った。また、科学的根拠に基づいた栄養食事指導ガイドラインを、米国栄養士会の関連資料等を参考に作成した。さらに、平成15年度の当該研究に協力した施設のうち、栄養管理体制などが良好な13施設を抽出し、実施可能性を検討した上で、栄養食事指導ガイドライン導入による効果分析のための介入試験を開始した。
結果と考察
栄養食事指導の実態調査によって、NCM活動の実施状況は、生活習慣病関連栄養リスクに対しては比較的多いものの、低栄養に対しては20%程度しか行われていない現状が明らかになった。低栄養者への適切なNCM活動は、治療効果の向上、合併症予防、入院期間の短縮、医療経済効果などが期待され、低栄養者に対するNCMの普及を推進する体制作りが望まれた。NCM活動による効果は、肥満、高血圧者の収縮期血圧、HbA1C、中性脂肪で入院時の栄養リスク指標が有意に改善することが確認された。適切なNCM活動は生活習慣病における薬物療法の軽減化が図れること及び、入院患者の負担軽減の上でも有用であることが期待された。さらに、「科学的根拠に基づいた入院患者のための入院~外来継続栄養食事指導プログラム」については、教材が完成し、プログラムを実際の病院業務に導入した場合の実施可能性を確認し、6か月間の介入を開始しているので、三年目に成果を報告できる。
結論
入退院時の前後比較による実態調査の結果から、NCM活動、すなわち包括的な栄養管理体制の普及が必要であることが確認された。また、入院から外来へと継続した栄養食事指導体制が導入された場合の効果を検証するための手法が構築できた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-