診療ガイドラインのデータベースに関する研究

文献情報

文献番号
200301070A
報告書区分
総括
研究課題名
診療ガイドラインのデータベースに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成15(2003)年度
研究代表者(所属機関)
宮本 昭正(日本臨床アレルギー研究所所長)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山一男(国立相模原病院臨床研究センター所長)
  • 足立満(昭和大学医学部第一内科教授)
  • 西間三馨(国立療養所南福岡病院院長)
  • 森川昭廣(群馬大学医学部小児科教授)
  • 山本一男(東京大学医学部アレルギー・リウマチ科教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全総合研究経費 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
喘息の治療の効率化、医療費の削減及び患者のQOL向上を指向し、Evidence based Medicineに基づく、喘息治療のガイドラインを3年前に作成したが、これに最近の論文も追加し、古いガイドラインの論文は取捨選択し、より斬新的なものにし、厚生労働省の意向に従い、データベースとしてより今日的なものにするのが目的である。
喘息の発症率は増加しているが、この傾向は今後とも続くと考えられる。現在、喘息の90%は一般医によって治療されているという現実があり、一般にも受け入れ易い、平易なガイドラインの作成と普及により喘息の治療がより効率的に行われるようになると考えられる。その結果、患者やその家族に及ぼす好影響は大なるものがある。症状の改善により、通院回数が減ずることにより患者のQOLが高まり、医療経済に大きく寄与することは確実である。事実、ガイドラインの作成により喘息による死亡数(年間7,000名強であったが、現在では5,000名を下回ってきた)、救急外来を訪ねる患者数、入院患者数も減少しているが、その傾向がより促進され、医療費の削減は勿論、国民の保健、福祉の向上に大きく役立つと期待される。
研究方法
研究者は表記の通り、申請者を含め6名であるが、それに加えて24名に研究協力の依頼をし、承諾された。そして全員の参加を求め、第一回の班会議を招集し、ガイドライン作成の方法について討議した。その際、Q&Aの型にしたら、という意見もあったが、大方の意見として前回のガイドラインに準拠する方法にすることで合意された。なお、(財)日本医療機能評価機構からも同席され、文献の検索を研究班員の要請により出来るだけ協力する事が約束された。また、機構の事業については研究班から可能な範囲内で協力してもらいたいとの希望が表明され、研究班として了承された。各項目について3~4名の班員により文献の検索に基づくガイドラインの作成が了承され、実際の作業に取り掛かった。文献の検索について、各班員と機構の間でいささかの意見の食い違いがあり、作業が遅れ気味になったが、2回、3回と班会議を招集し、その都度意見の交換と全体の調整を図り、作成に鋭意努力していただいた。EBMに基づく喘息の治療ガイドラインの作成が目的であるので、数万にのぼる関係論文の中から、タイトル、抄録などから、出来るだけ優れていると思われる論文を選び、抄録し、それに基づいて忠実に文章を作成するように配慮したが、日本アレルギー学会で作成されたガイドラインもあるので、それとの整合性も考慮した。なお、各報告書は全体の整合性をはかるため、主任研究者宮本が目を通し、さらにそれぞれの責任者に返送し、加筆修正を求めた。完成した本文は、現在印刷中である。作成されたガイドラインの本文はかなり分厚いものになる。
結果と考察
完成したガイドラインの内容は、専門家にとっては大変有用ではあるが、あまりに内容が豊富であり、日常臨床に多忙な一般臨床医にとっては、やや不便であろうと思われるので、一般医を対象にしたかなりコンサイスなガイドラインの小冊も作成することにしている。
3冊の本ガイドラインはそれぞれ広く利用されることを期待している。
結論
研究成果は、専門医に有用と思われる。成果物は成書と一般医向けの小冊と、患者用の小冊の3部構成であるが、それぞれの印刷物を出来るだけ多くの方々に利用してもらうため、店頭に出したいと考えている。なお、一般医向けの小冊や患者用の小冊は、アレルギー協会主催の一般医向けの講演会や、研究会の時に出席者に無料で配布し、利用の普及をはかる予定である。また、患者用の小冊は、患者団体に見本として配布し、要望があれば、アレルギー協会の協力のもとに、無料で配布したいと考えている。なお、(財)日本医療機能評価機構が、今回のガイドラインを活用して、ホームページを作り、利用度を高めたいとしているが、それに加えて、アレルギー協会及びアレルギー学会もホームページに入力し、普及をはかる予定である。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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