21世紀における小児救急医療のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200201263A
報告書区分
総括
研究課題名
21世紀における小児救急医療のあり方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
田中 哲郎(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 市川光太郎(北九州市立八幡病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
5,392,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児救急医療体制の不備や破綻を起こしている理由として、小児科医不足、小児救急医療の不採算性の2点が判明したことより、小児救急体制の充実はわが国の将来を考えた場合にきわめて重要な課題である。また、小児救急の充実は少子化に歯止めをかけ、わが国の将来的生産性の低下防止につながると思われ、地域に見合った理想的な体制の構築が行われることは、より安心して子育てができる養育環境づくりに直結し、育児不安の解消にもなると考えられる。以上のことより、①小児救急医療体制における遠隔医療支援体制作りに関する研究、②小児救急医療現場における若手小児科医の人材育成・確保に関する研究の2つの課題を解決することを目的として研究を行った。
研究方法
各課題解決に最も適切な方法にて行った。詳細については各報告書を参照されたい。
結果と考察
小児救急医療体制は二次医療圏に小児専門の救急医療体制を整備するとし、数値目標を示して充実に努めている。しかし、二次医療圏別に小児科医数の検討を行った結果、病院勤務の小児科医の絶対数が少なく、小児の二次救急の輪番体制を組むことが難しい二次医療圏が全体の半数近く存在するなど、この方法によって充実することは物理的に不可能であることが明らかになった。子どもの急病患者は毎日発生しており、一刻の猶予も出来ないことより、次善の策が求められる。
そこで、最近急速な技術的進歩の見られるIT技術を用い、遠隔診療の方式を利用した小児救急支援システムを構築し、子どもの生命と保護者の不安を払拭すべきであると考えられる。具体的な方法としては、小児救急未整備医療圏において、小児科以外の当直医か小児救急患者の対応に困難がみられた際にテレビ電話、患者の映像やレントゲン写真の電送機能を持った相談システムを構築し、小児の専門医による24時間いつでもすぐに診療サポートできる指導サイトを持ったシステムを作ることが望ましいと考え、この方式について種々の検討や実験を行った結果、技術的に可能との結論に達した。
このシステムには小児救急患者のトリアージ・アドバイス機能以外に、近くの小児専門施設の外来やベッドの状況把握および帰宅させる患者家族に対して指導情報を発信するなどの3つの機能を持たせるのが望ましいとされる。
また、本システムのためには入院施設の確保のために現在実施している小児救急拠点病院、小児二次救急輪番事業の実施および小児科非専門医のマニュア作成、研修を実施し、小児救急体制の充実施策は欠くことのできないものである。同システムの構築に必要とされる費用は2500の医療施設に設置した場合初年度10~15億円と試算された。その他、小児患者の特性や小児医療の不採算性、女性医師の勤務・育児環境、救命救助センターにおける小児救急の現状など21世紀の小児救急担当者の確保に必要な課題についても検討を行った。
今回検討した小児救急支援システムについては、保護者の90%以上が支持し、また、小児二次救急未整備二次医療圏にある救急告示病院の施設長の6割以上が有用としていたことより、同システムを早急に構築することを提言する。
結論
二次医療圏毎の小児救急医療の整備は小児科医不足により物理的に不可能と考えられることにより、次善策にて国民の不安を除く必要がある。以上のことより、最近急速な技術的進歩の見られるIT技術を用い、遠隔診療の方式を利用した小児救急支援システムを構築し、子どもの生命と保護者の不安を払拭すべきであると考えられた。具体的な方法としては、小児救急未整備医療圏において、テレビ電話、患者の映像やレントゲン写真の伝送機能を持ったシステムを構築し、小児の専門医による24時間いつでもすぐに診療できる指導サイトを持ったシステムを作るべきである。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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