電算化レセプトからアウトカム評価を抽出するモデル研究(総括・分担研究報告書)

文献情報

文献番号
200201251A
報告書区分
総括
研究課題名
電算化レセプトからアウトカム評価を抽出するモデル研究(総括・分担研究報告書)
課題番号
-
研究年度
平成14(2002)年度
研究代表者(所属機関)
茅野 眞男(国立病院東京医療センター 循環器科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 悦司(国立保健医療科学院技術評価部技術評価部 研究動向分析室長)
  • 尾藤 誠司(国立病院東京医療センター 総合診療科医員)
  • 松井 邦彦(京都大学大学院医療経済学分野 助手)
  • 田倉 智之(株式会社三菱総合研究所 主任研究員)
  • 鈴木 雅裕(国立埼玉病院 臨床研究部長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成15(2003)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近い将来のレセプト電子化を前提に、電算化レセプト上から医療の質項目(quality indicator)を収集することが可能であるかを検討する。Quality indicatorの選定は従来は各研究者の思いつきであったが、我々は本邦で始めて厳密な方法で行う。その選定された項目が電算化レセプト上に存在するか否かを、倫理委員会を通過した病院より抽出したデータから検証する。
研究方法
【解析班】1;到達目標モデルを米国加州のOSHPDと決定。同データベースのquality indicator選定手法を検討したところ厳密な方法がとられていた。2;Quality assessment手法を知るため米国加州RAND研究所のAsch氏を平成14年5月に訪米、10月17日Asch氏を招聘来日して詳細を詰めた。3;急性心筋梗塞の入院ケアを対象に、文献的考察を踏まえた系統的review、Delphi法を用いたパネルによるコンセンサスによりquality indicator作成を行った。各手順は、1)系統的レビューを基にした初期指標項目の描出、2)9人のエキスパート・評価委員による各選定項目に対する適切性評価、3)評価結果を基にしたexpert panelを平成15年1月28日に開催、4)パネル協議終了後それら項目一覧表の修正版を再度郵送し全員から再評価の返答を得た。4;選定された質指標をカルテ上で読むのはコストが大変かかるためpreliminary調査を行った。厚生科学研究campaign studyの国立T病院データベースを使い、退院要約から読み取った重症度評価項目を付け加えた連続195例中、欠損値データのない129例、内入院中死亡26例にてレセプト上項目とカルテ上項目を対比検討した。【抽出班】レセコンから医療の質の項目を取り出す試みに関しては6病院の倫理委員会を通過した。済生会C病院,国立O病院、国立T病院のデータ抽出の終了した。
結果と考察
【解析班quality indicator作成】各項目1-9点での適切性、および5段階評価でのデータ取得可能性の順位付けを集計した結果、評価項目の中央値が7点以上、さらにデータ取得の査定として4点以上を満たすような項目を採用した。リスク調節(30日死亡率評価)のためのquality indicatorのうちレセプト採取可能はバルーンパンピング挿入、気管内挿管等の13項目。診療行為の質評価のためのquality indicatorは入院当日のアスピリン、ベータブロッカー等であった。【解析班preliminary解析】目的変数は急性心筋梗塞院内死亡、30日死亡率評価のための重症度判定基準用(ペースメーカー植え込み、カウンターショック、バルーンパンピング挿入、レセプト点数詳細)統計的に選択されたカルテ上指標はショック・心肺蘇生・年齢(p値=0.053)で、それにより死亡と正しく判定できたのが62%。レセプト上指標;気管内挿管・ドーパミンで死亡と正しく判定できたの42%。なを点数詳細としてレセプトに存在する食事療養費等が死亡予測96%と良かったが、外生因子問題の批判があった。【抽出班】expert panel結果で診療行為の質評価のため電算化上で日持ちデータが必要とされたが、抽出可能であったのはversionの新しいO病院のみであった。
結論
上記指標を電算化レセプトから、将来的には電子的に得ることにより、各病院の医療の質がon lineで表示可能になる。診療報酬支払いが包括になるまえに有意項目を決定し、電子レセプト上提出義務をつける必要がある。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-